この記事を読んでほしい人
腎機能が低いと言われている方・透析中の方・抗凝固薬(ワーファリン・DOACなど)を服用中の方で、胃もたれ・胃痛に市販の胃薬を使おうか迷っている方、またはそのご家族
冒頭3行結論
✅ 基本の考え方 腎機能低下・抗凝固薬服用中の方が市販の胃薬を使う場合は、種類と量について必ず薬剤師またはかかりつけ医に確認してください。
❌ 避けたいこと
- 腎機能が低いのにH2ブロッカーを自己判断で繰り返し使う
- 腎機能が低いのにマグネシウム系制酸薬を長期使用する
- 抗凝固薬服用中の黒い便・吐血を市販の胃薬だけで様子を見続ける
🧑⚕️ すぐ受診・相談したいケース
- 黒い便・タール便・吐血がある
- 抗凝固薬服用中にふらつき・息切れ・動悸・強い胃痛がある
- 市販の胃薬を使っても数日で改善しない
腎機能が低い方でH2ブロッカーに注意が必要な理由
ファモチジンなどのH2ブロッカーは、主に腎臓から排泄される成分が含まれています。腎機能が低下していると排泄が遅くなり、成分が体内に蓄積しやすくなることがあります。
処方薬のH2ブロッカーでは腎機能に応じた用量調整や投与間隔延長が必要とされるケースがあります。市販薬であっても、腎機能が低い方が自己判断で繰り返し使い続けることは避け、使用前に薬剤師に相談してください。
マグネシウム系制酸薬と腎機能低下の注意
水酸化マグネシウムなどのマグネシウム系制酸薬は、腎機能が低い方では高マグネシウム血症のリスクがあります。
これは、便秘薬として使われる酸化マグネシウムと同様の注意が必要です(胃薬にもマグネシウム系の成分が含まれている製品があります)。
吐き気・全身のだるさ・めまい・脈が遅くなるなどの症状が出た場合は、追加で服用せず、すぐに医師・薬剤師へ相談または受診してください。
抗凝固薬服用中の消化管出血リスク

ワーファリン・DOAC(アピキサバン・リバーロキサバン・エドキサバン・ダビガトランなど)・抗血小板薬を服用中の方では、出血した場合に止まりにくくなったり、出血サインを見逃せない状態です。
胃の不調だと思っていた症状が、消化管出血のサインである場合があります。次の症状が出た場合は、市販の胃薬で様子を見続けず、すぐに受診してください。
出血のサインに注意
- 黒い便・タール便(コールタールのような黒くてドロドロした便)
- 吐血・コーヒー残渣様の嘔吐物(茶褐色でコーヒーのカスのような)
- 強い胃痛・腹痛
- ふらつき・息切れ・動悸・顔色が悪い(貧血のサイン)
胃薬で「隠さない」ことが重要 市販の胃薬を飲んで一時的に楽になっても、出血が続いている可能性があります。抗凝固薬服用中に胃の症状が続く場合は、早めにかかりつけ医に相談してください。
薬剤師に相談したうえで候補になることがある選択肢
腎機能低下・抗凝固薬服用中の方でも、黒い便・吐血・強い痛みがなく、軽い胃もたれ・食べすぎに限られる場合は、薬剤師に相談したうえで次のような選択肢が候補になることがあります。
消化酵素・健胃薬(タカヂアスターゼなど) 腎臓への負担が比較的少ないとされますが、痛みが強い場合は使わず受診を検討してください。
胃粘膜保護薬 胃の粘膜を守る目的で使われる薬です。ただし製品ごとに成分が異なり、腎機能低下で注意が必要な成分もあるため、薬剤師に確認してから選んでください。
薬剤師への相談3点セット
- 腎機能・透析の状況(腎機能低下と言われているか・透析中か)
- 服用中の薬(抗凝固薬・抗血小板薬・NSAIDs・ステロイドなど。お薬手帳があれば持参)
- 胃症状の内容(いつから・胃痛か胃もたれか・黒い便・吐血の有無)
受診を考えるライン
- 黒い便・タール便・血便がある(すぐ受診)
- 吐血・コーヒー残渣様嘔吐がある(すぐ受診)
- ふらつき・息切れ・動悸がある(すぐ受診)
- 抗凝固薬服用中に強い胃痛が続く
- 腎機能が低い方で胃薬を繰り返し使っても改善しない
- 市販の胃薬を数日使っても改善しない
ドラッグストアでよく聞かれる相談

相談:「ワーファリンを飲んでいる父が胃痛を訴えている。胃薬を買っていっていいか」
迷い:ワーファリンを飲んでいても胃薬は使えるか。何を選べばいいか
結論:抗凝固薬服用中の胃痛は消化管出血のサインである可能性があるため、まず黒い便・吐血・ふらつきがないかを確認する。これらがある場合は市販の胃薬より先に受診を優先する。症状が軽い場合でも、お薬手帳を持って薬剤師に相談してから選ぶことが適切です
関連記事
- 高齢者の胃もたれ・胃痛に市販の胃薬は使っていい?種類と注意点を薬剤師が解説
- 親の胃もたれに市販の胃薬を選ぶとき|種類の選び方と受診が必要なサインを薬剤師が解説
- 腎機能が低い人が酸化マグネシウムを使うときの注意点|高マグネシウム血症のサインと相談目安を薬剤師が解説
- 腎機能が低い人・血液をサラサラにする薬を飲む人の頭痛薬|市販薬の選び方と注意点を薬剤師が解説
この記事の根拠
1. 厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル「消化性潰瘍」 NSAIDsによる上部消化管出血で吐血・黒色便が出現することがあると説明されています。高齢者・抗血栓薬・ステロイド併用者はリスクが高いとされています。
2. PMDA 一般用医薬品 添付文書 H2ブロッカー・制酸薬の一般用医薬品では、製品ごとの添付文書で腎機能障害・長期使用・服薬中の薬に関する相談事項が記載されています。
3. PMDA 酸化マグネシウム製剤 適正使用に関するお願い マグネシウム製剤について、腎臓病・高齢者では高マグネシウム血症に注意するよう案内されています。本記事では、腎機能が低い方がマグネシウムを含む胃薬を自己判断で長く使わないよう説明する根拠として参照しています。
参照:PMDA 酸化マグネシウム製剤 適正使用に関するお願い(PDF)
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

