この記事を読んでほしい人 高血圧の薬を飲んでいる親のために、ドラッグストアで花粉症薬を選ぼうとしている方
冒頭3行結論
✅ 買うなら 目のかゆみは点眼薬、鼻症状は点鼻薬を優先する
❌ 避ける成分
外箱の「してはいけないこと/相談すること」に高血圧の記載がある製品は、成分確認の前に避けてください。
- プソイドエフェドリン(血圧が上がりやすい)
- フェニレフリン(血管が収縮して血圧が上がりやすい)
- dl-メチルエフェドリン(血圧・動悸が出やすい)
- d-クロルフェニラミン(眠気・ふらつきが出やすい)
- カフェイン配合(動悸が出やすい)
🧑⚕️ 相談
- 血圧が不安定
- 動悸が出やすい
- 服用中の薬の名前が分からない
現場から|ドラッグストアでよく聞かれる相談
相談: 「母が高血圧の薬を飲んでて、今年の花粉がひどくて目も鼻もつらそうで。何か買ってあげたいんですけど、何でも飲ませてよいのかなと思って来ました」
迷い: CMでよく見る総合タイプを買えばよいと思っていた。成分によって違いがあるとは知らなかった。
結論: 鼻づまりに入っている成分が血圧を押し上げる恐れがある。まず目には点眼薬、鼻には点鼻薬から試してもらい、それでも足りなければ成分を一緒に確認した。
親が高血圧のとき、花粉症薬で迷う理由
花粉症の市販薬は種類が多く、同じ「花粉症薬」でも成分が大きく異なります。特に高血圧の薬(降圧剤)を飲んでいる場合、組み合わせによっては血圧を押し上げたり、動悸がしたりする恐れがあります。
家族として困るのは「どれを選べば影響が少ないかわからない」という点です。外箱には小さな文字で成分が書いてあっても、何に注意すればよいのかわかりにくい設計になっています。
この記事では「成分の考え方」を軸に、棚前で使える判断基準をお伝えします。
なお、店頭で「花粉症薬」として販売されている総合薬の中には、鼻づまりを改善する交感神経刺激系の成分が含まれている場合があります。この記事ではそうした成分も含めて確認します。
まず確認する3点
薬を選ぶ前に、次の3点を確認してください。
- 今出ている症状:目のかゆみだけか、鼻水・鼻づまりもあるか
- 持病の状態:血圧は安定しているか、動悸が出たことがあるか
- 服用中の薬:薬袋・お薬手帳・スマホの写真でも確認できます
この3点を薬剤師に伝えるだけで、選択肢が大幅に絞れます。
外箱で「高血圧の方」と書かれている製品は避ける

市販薬の外箱には、法令に基づいて使用上の注意が記載されています。花粉症薬・鼻炎薬を選ぶ際は、まず次の2か所を確認してください。
- 「してはいけないこと」欄に「高血圧の方」 → その製品は使用しない
- 「相談すること」欄に「高血圧の方」 → 購入前に薬剤師に声をかける
この2か所を確認するだけで、大きなリスクを避けられます。成分名を調べたい場合は「有効成分」欄を次のステップで確認します。
注意文言が出やすい成分と理由(一言解説)
「してはいけないこと」や「相談すること」に高血圧の方への注意が書かれやすい成分には理由があります。
交感神経刺激系の鼻づまり成分
外箱に「高血圧の方は使用しないこと」と記載されやすい代表的な成分です。
- プソイドエフェドリン(血圧が上がりやすい)
- フェニレフリン(血管が収縮して血圧が上がりやすい)
- dl-メチルエフェドリン(血圧・動悸が出やすい)
これらは鼻の粘膜の血管を収縮させる目的で配合されますが、全身の血管にも影響する恐れがあります。花粉症薬だけでなく風邪薬・鼻炎薬にも含まれているため、製品名だけで判断せず必ず外箱を確認してください。
「漢方だから安全」は確認が必要です
葛根湯・麻黄湯・小青竜湯などマオウ(麻黄)を含む漢方薬にも、「高血圧の方は相談すること」という記載があります。マオウに含まれるエフェドリン類には交感神経を刺激する作用があり、血圧や動悸に影響する恐れがあるとされています。
「西洋薬より漢方の方が安心」という認識は高齢者に多いですが、外箱の注意文言は漢方薬にも記載されています。購入前に薬剤師へ一声かけてください。
- 葛根湯:風邪・肩こりによく使われるが、マオウを含む
- 麻黄湯:発熱・インフルエンザに使われるが、マオウを多く含む
- 小青竜湯:花粉症・鼻炎に効くとして人気だが、マオウを含む
薬剤師メモ: 「漢方だから安心ですよね?」と聞かれることが本当によくあります。特に高齢の方に多い印象です。薬剤師の立場からすると、麻黄(マオウ)にはエフェドリンが含まれていて交感神経を刺激する、というのは基本中の基本なんですが、それを知らずに「自然のものだから」と長く飲み続けている方が実際にいます。外箱に「高血圧の方は相談すること」と書いてある漢方薬は実際にあります。迷ったらまず一声かけてください。
カフェイン配合
一部の花粉症・鼻炎の総合薬に配合されています。カフェインには心拍数を上げ、血圧を一時的に高める作用があるとされています。高血圧の方には不要なリスクになります。
d-クロルフェニラミン(第一世代抗ヒスタミン)
眠気・ふらつきが出やすい成分です。高齢者では転倒・骨折につながるリスクがあります。また抗コリン作用により、口渇・排尿障害・認知機能への影響が出る恐れがあります。
買うなら何を選ぶか(単剤の落としどころ)
基本の考え方は**「全身に吸収される内服薬より、局所に作用する点眼・点鼻薬を優先する」**です。
目のかゆみは点眼薬を優先
目のかゆみ・充血にはアレルギー用点眼薬を使います。点眼薬は目の表面に直接作用するため、内服薬と比べて全身への影響が小さい傾向があります。
棚で確認するポイント:「アレルギー専用」「花粉症」と表記された点眼薬を選ぶ。充血除去成分(ナファゾリン等)が入っていないタイプがより無難です。
鼻水・鼻づまりは点鼻薬を優先
鼻症状にはステロイド配合の点鼻薬または抗ヒスタミン点鼻薬が選択肢になります。点鼻薬も局所作用が中心で、内服薬より全身への影響が小さい傾向があります。
ただし、血管収縮系の点鼻薬(オキシメタゾリン等)は連続使用で薬剤性鼻炎を起こす恐れがあります。数日を目安に使用し、長引く場合は薬剤師に相談してください。
薬剤師メモ(現場の経験から): 以前、「鼻づまりが全然取れなくて」と相談に来た高齢の方がいて、話を聞いたら血管収縮系の点鼻薬を毎日何か月も使い続けていました。やめると余計に詰まる「リバウンド(反跳性鼻閉)」が起きていたんです。使うなら数日を目安に、長引くようなら早めに声をかけてください。
内服薬が必要なときの選び方
どうしても内服薬が必要な場合は、以下の成分が入っていないことを「有効成分」欄で確認してください。
- プソイドエフェドリン
- フェニレフリン
- dl-メチルエフェドリン
- カフェイン
これらが含まれていなければ、内服の花粉症薬(抗ヒスタミン薬)でも比較的選びやすくなります。第二世代抗ヒスタミン薬(ロラタジン、セチリジン等を含む製品)は眠気も比較的少なく、血圧への直接的な影響も少ないとされています。ただし、不安がある場合は薬剤師への確認をおすすめします。
薬剤師に伝える3点セット

「成分を確認してください」と言われても、親の薬の名前を全部覚えている人は少ないです。そのときに役立つのが次の3つです。
1. 薬袋(くすりぶくろ)
薬局でもらう袋に薬の名前が書いてあります。そのまま持参するか、写真を撮っておくだけで十分です。
2. お薬手帳
処方されているすべての薬が記録されています。スマホアプリ版(お薬手帳アプリ)を使っている場合はアプリの画面を見せるだけでOKです。
3. スマホで薬の写真
薬袋もお薬手帳もない場合は、錠剤・カプセルの写真を撮っておくと薬剤師が調べやすくなります。
よくある質問
Q. 親の薬の名前が分からない場合はどうする?
薬袋・お薬手帳・薬の写真のいずれかを持参するか、スマホで撮影してきてください。薬の名前が分からなくても、薬剤師が調べて確認できます。「高血圧の薬を飲んでいる」とだけ伝えるより、実物を見せる方が確実です。
Q. 点鼻薬と点眼薬だけで症状が足りないときはどうする?
点鼻・点眼で対応しきれない場合は、内服薬の追加を検討します。その場合は薬剤師に「高血圧の薬を飲んでいる」と伝えた上で、避けるべき成分が入っていない製品を一緒に選んでもらうのが安全です。
Q. 血圧が安定していれば内服の花粉症薬は使えるか?
血圧が安定していても、交感神経刺激系の成分(プソイドエフェドリン等)は血圧を押し上げる恐れがあるため、避ける方が無難です。第二世代抗ヒスタミン薬を中心に、薬剤師に相談しながら選ぶことをおすすめします。
受診・相談の目安
次のような症状が出た場合は、市販薬での対応を中止して受診または専門家に相談してください。
花粉症薬を使って気になる症状が出た場合
- 動悸・胸の痛み・息苦しさ
- 血圧が普段より高くなった
- 強いふらつき・転倒しそうになった
症状が改善しない場合
市販薬を1〜2週間使っても改善しない場合は、医療機関での処方薬を検討してください。高血圧の方には処方薬の選択肢の方が合いやすいケースがあります。
本人が購入する場合も同じ成分に注意
高血圧の薬を飲んでいるご本人が一人でドラッグストアに来た場合も、確認する成分は同じです。
外箱の「してはいけないこと」「相談すること」の欄に「高血圧の方」と記載がある製品は、購入前に薬剤師・登録販売者に声をかけてください。
まとめ:棚前で使える判断フロー
症状を確認する
├── 目のかゆみだけ → アレルギー用点眼薬
├── 鼻水・鼻づまりだけ → 抗アレルギー点鼻薬
└── 両方ある → 点眼+点鼻を組み合わせる
内服薬が必要な場合
└── 外箱「有効成分」欄で確認
├── プソイドエフェドリン含む → 選ばない
├── フェニレフリン含む → 選ばない
├── dl-メチルエフェドリン含む → 選ばない
└── これらが含まれない → 薬剤師に確認して選ぶ
迷ったら
└── 薬袋・お薬手帳・薬の写真を持って薬剤師に相談
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この記事の根拠
1. PMDA 一般用医薬品 添付文書(プソイドエフェドリン配合製品) プソイドエフェドリンを含む市販薬の添付文書には「してはいけないこと」の欄に高血圧の方への使用禁止が明記されています。本記事の「避ける成分」はこの記載に基づいています。
参照:PMDA 添付文書(プソイドエフェドリン配合 OTC 製品)
2. 厚生労働省「かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意」 プソイドエフェドリン・フェニレフリン・dl-メチルエフェドリンを含む製剤には「してはいけないこと」または「相談すること」に高血圧の記載を義務づける通知が発出されています。外箱の注意文言はこの通知に基づいています。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

