この記事を読んでほしい人
ワルファリンやDOAC(血液をサラサラにする薬)を服用中で、胃の不調に市販の胃腸薬を使おうか迷っている方、またはそのご家族
冒頭3行結論
✅ まず確認したいこと 抗凝固薬を服用中の胃の不調は、消化管出血のサインである可能性があります。市販薬を選ぶ前に、出血サインがないか確認してください。
❌ 避けたい成分・使い方
- NSAIDsを含む総合胃腸薬(イブプロフェン・アスピリン配合製品):出血リスクが高まる恐れがある
- 症状が強い・長く続いているのに市販薬で様子を見続ける
🧑⚕️ 相談・受診が特に必要なケース
- 黒色便・タール便が出ている
- 吐血・コーヒー残渣様の嘔吐がある
- めまい・動悸・息切れを伴う胃の不調がある
抗凝固薬を服用中に胃の不調が起きやすい理由
ワルファリンやDOAC(アピキサバン・リバーロキサバン・ダビガトランなど)は、血液が固まりにくい状態を保つ薬です。出血した際に血が止まりにくくなるため、消化管内で出血が起きると通常より重篤になる恐れがあります。
また、一部の抗凝固薬では胃腸障害が起こることがあります。胃の不調が薬の副作用として現れているケースもあります。
見逃してはいけない出血サイン

次のいずれかがある場合は、市販薬より先に医療機関を受診してください。
すぐに受診が必要なサイン
- 黒色便・タール便(黒くてドロッとした便):消化管出血のサインである可能性が高い
- 吐血・コーヒー残渣様の嘔吐(茶色・黒っぽい嘔吐物):上部消化管出血のサインである可能性がある
急いで受診が必要なサイン
- めまい・ふらつき・立ちくらみが伴う
- 動悸・息切れが伴う
- 急に顔色が悪くなった・だるさが強い
これらは消化管出血による貧血症状の可能性があります。抗凝固薬を服用中の方で、これらの症状と胃の不調が重なる場合は、迷わず受診してください。
市販の胃腸薬は使っていいか
抗凝固薬服用中に市販の胃腸薬を使う場合、まず出血サインがないことを確認することが前提です。
避けるべき成分
NSAIDs(イブプロフェン・アスピリンなど)を含む製品 NSAIDsは胃粘膜を傷つけやすく、抗凝固薬との併用で消化管出血リスクがさらに高まる恐れがあります。総合胃腸薬・総合かぜ薬に含まれていることがあります。外箱の「有効成分」欄で確認してください。
相談してから使う成分
H2ブロッカー(ファモチジンなど) 服用中の薬との兼ね合いを確認する必要があります。ワルファリンやDOACを服用中の方は、自己判断で使わず薬剤師へ相談してください。
比較的問題になりにくい成分
制酸薬(炭酸水素ナトリウムなど)・消化酵素・整腸薬 抗凝固薬との飲み合わせで特に大きな問題になりにくいとされています。ただし症状が強い・長く続く場合は市販薬の種類にかかわらず受診が適切です。
薬剤師への相談3点セット
胃の不調で薬剤師に相談するとき、次の3点を伝えると適切なアドバイスを受けやすくなります。
- 服用中の抗凝固薬の名前(お薬手帳があれば持参)
- 胃の症状の内容と期間(どんな症状が、いつから続いているか)
- 出血サインの有無(黒色便・吐血・めまいなどがあるか)
受診を考えるライン
次のいずれかに当てはまる場合は、市販薬より先に医療機関への相談が適切です。
- 黒色便・タール便が出ている
- 吐血・コーヒー残渣様の嘔吐がある
- めまい・動悸・息切れを伴う胃の不調がある
- 胃の不調が2週間以上続いている
- 市販薬を使っても改善しない
ドラッグストアでよく聞かれる相談

相談:「ワルファリンを飲んでいて胃がムカムカする。市販の胃薬を飲んでいいか」
迷い:ワルファリンとの飲み合わせが心配。何なら使っていいか分からない
結論:まず黒色便・吐血などの出血サインがないか確認する。サインがなく症状が軽い場合は、NSAIDsを含まない制酸薬・整腸薬が比較的選びやすいが、服用中の薬と合わせて薬剤師に相談するのが基本
関連記事
- 高齢者に市販の胃腸薬は使っていい?胃薬・整腸薬の違いと注意点を薬剤師が解説
- 腎機能が低い人に市販の胃薬は使っていい?H2ブロッカーと制酸薬の注意点を薬剤師が解説
- 抗凝固薬を飲んでいる人の頭痛|痛み止めで避けたい成分と選び方を薬剤師が解説
- 【成分辞書】NSAIDsとは|胃・腎臓・喘息への影響を薬剤師が解説
この記事の根拠
1. PMDA 一般用医薬品 添付文書 イブプロフェン・アスピリンなどのNSAIDsを含む一般用医薬品の添付文書には、抗凝固薬服用中の方を相談対象または使用禁忌とする記載があります。
2. PMDA 患者向医薬品ガイド・重篤副作用疾患別対応マニュアル 抗凝固薬では出血傾向に注意が必要であり、黒色便、吐血、貧血症状などは消化管出血のサインとして早期対応が必要です。市販薬を含め併用に注意すべき薬があるため、新たに薬を使う際は医師または薬剤師への相談が必要です。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

