この記事を読んでほしい人
高齢の家族に市販の便秘薬を選んであげたい方、または高齢の方ご自身が便秘に市販薬を使おうか迷っている方
冒頭3行結論
✅ 買うなら 酸化マグネシウム系の便秘薬が候補になりやすい。ただし腎機能が低い方は購入前に薬剤師へ相談する。
❌ 避けたい成分・使い方
- センナ・センノシド・ビサコジル(刺激性下剤)を長期・常用することは避ける
- 刺激性下剤の常用は腸の動きへの依存につながる恐れがある
🧑⚕️ 相談が特に必要なケース
- 腎機能が低いと言われている方・透析を受けている方
- 複数の薬を服用中の方
- 便秘が2週間以上続いている方
市販の便秘薬の種類と主な成分
市販の便秘薬は大きく2種類に分けられます。
刺激性下剤
腸を直接刺激して動きを強める成分です。
- センナ・センノシド(コーラック便秘薬・スルーラックなど)
- ビサコジル(コーラックⅡなど)
- ピコスルファートナトリウム(コーラックハーブなど)
効果は出やすい一方で、腹痛・下痢が起きやすく、長期使用で腸が刺激に慣れてしまう恐れがあります。
塩類下剤(非刺激性)
腸内の水分を増やして便を柔らかくする成分です。
- 酸化マグネシウム(マグミット類似OTCなど)
腸を直接刺激しないため、高齢者に使いやすいとされることが多いです。ただし腎機能が低い方では注意が必要です。
刺激性下剤が高齢者で問題になる理由
刺激性下剤は短期的な効果は出やすいですが、高齢者では次の点に注意が必要です。
腹痛・下痢が起きやすい 腸を強く刺激するため、腹痛や激しい下痢が起きやすくなります。高齢者では脱水につながる恐れがあります。
習慣化・依存のリスク 刺激性下剤を長期使用すると、腸が刺激がないと動かなくなる恐れがあります。服用をやめると便秘がさらに悪化するケースもあります。
電解質バランスへの影響 長期使用でカリウムなどの電解質が失われる恐れがあります。心臓の薬や利尿薬を飲んでいる方は特に注意が必要です。
酸化マグネシウムの特徴と注意点

酸化マグネシウムは腸を直接刺激しないため、習慣化のリスクが低く、高齢者に使いやすいとされています。
ただし、次の点には注意が必要です。
- 腎機能が低い方では注意が必要:腎機能が低下していると、マグネシウムが体内に蓄積する恐れがあります(高マグネシウム血症)
- 透析を受けている方は特に注意:自己判断での使用は避け、事前に医師・薬剤師へ相談する
- 他の薬との飲み合わせ:一部の抗菌薬・骨粗しょう症の薬との間隔に注意が必要な場合があります
腎機能が低い方の酸化マグネシウムの注意点は、別記事で詳しく解説しています。
高齢者で特に注意が必要な人
- 腎機能が低い方・透析を受けている方:酸化マグネシウムの蓄積リスクがある
- 心臓の薬・利尿薬を服用中の方:刺激性下剤による電解質への影響に注意
- 複数の薬を服用中の方:飲み合わせの確認が必要
- 高齢者全般:脱水・電解質異常が起きやすく、影響が出やすい
受診を考えるライン
次のいずれかに当てはまる場合は、市販薬で様子を見るより先に医療機関への相談が適切です。
- 激しい腹痛・嘔吐がある
- 血便・黒色便が出ている
- 体重減少・食欲低下が2週間以上続いている
- 市販の便秘薬を使っても改善しない状態が2週間以上続く
- 便秘と下痢を繰り返している
ドラッグストアでよく聞かれる相談

相談:「母がいつも便秘薬を飲んでいるが、最近効かなくなってきた」
迷い:量を増やしていいのか、別の種類に変えた方がいいのか
結論:刺激性下剤を長期使用していると効果が出にくくなる恐れがある。まず薬剤師に現在使っている成分と使用期間を伝えて相談するとよい。腎機能の状態が分かれば、刺激性下剤以外の選択肢を薬剤師と一緒に検討しやすい
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この記事の根拠
1. 便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症(日本消化管学会) 慢性便秘では、刺激性下剤は有効性がある一方で、腹痛、下痢、脱水、電解質異常に注意が必要であり、長期使用では慎重な使用が必要とされています。
2. PMDA 医薬品安全性情報 酸化マグネシウムを含む製剤については、高齢者や長期投与では高マグネシウム血症に注意が必要であり、可能な限り最小限の使用にとどめること、吐き気、嘔吐、血圧低下、徐脈、筋力低下、傾眠などの初期症状が現れた場合は中止して受診することが示されています。
3. PMDA 一般用医薬品 添付文書 センナ・ビサコジルを含む一般用医薬品の添付文書には、長期使用の注意および腎臓病がある方を相談対象とする記載があります。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

