この記事を読んでほしい人
高齢の家族の虫刺されに市販薬を選んであげたい方、または高齢の方ご自身が虫刺されのかゆみ・腫れに市販薬を使おうか迷っている方
冒頭3行結論
✅ 買うなら 症状の強さで選ぶ。かゆみだけの軽い虫刺されには抗ヒスタミン外用薬(ジフェンヒドラミン系など)が候補になりやすい。赤み・腫れ・強いかゆみがある場合は外用ステロイドまたはステロイド+抗ヒスタミン配合タイプを検討する。
❌ 避けたい使い方
- 外用ステロイドを5〜6日以上連続して使い続ける
- 前立腺肥大・緑内障がある方が飲み薬(第一世代抗ヒスタミン)を自己判断で使う
🧑⚕️ 相談・受診が特に必要なケース
- 大きく腫れている・化膿している
- 発熱・全身症状がある(じんましん・息苦しさ・唇やのどの腫れ・めまいはアナフィラキシー疑いのためすぐ救急)
- マダニに刺された可能性がある
市販の虫刺され薬の種類
市販の虫刺され薬は大きく4種類に分けられます。
外用ステロイド単独
虫刺されによる炎症・かゆみ・赤みに効果があります。
- ヒドロコルチゾン酪酸エステル・デキサメタゾン酢酸エステルなど
虫刺されの炎症に直接働きかけ、かゆみを抑えます。高齢者は皮膚が薄いため、5〜6日程度を目安に短期間使うことが基本です。
抗ヒスタミン外用薬単独
かゆみを局所で抑えます。
- ジフェンヒドラミン塩酸塩など
炎症が軽く、かゆみが主な症状の場合に使われます。
ステロイド+抗ヒスタミン配合タイプ
虫刺され専用製品に多いタイプです。炎症を抑えるステロイドとかゆみを抑える抗ヒスタミンの両方が含まれており、虫刺されに対してより幅広く対応できます。
ただし2種類の成分が入っているため、症状が軽い場合は単独タイプで十分なことがあります。外箱の成分欄で確認してから選んでください。
飲み薬(第一世代抗ヒスタミン内服)
広範囲の虫刺され・強いかゆみで塗り薬だけでは追いつかない場合に使われます。
ただし高齢者では次のリスクに注意が必要です。
- 眠気・転倒リスク:第一世代抗ヒスタミンは強い眠気を引き起こしやすい
- 抗コリン作用:前立腺肥大がある方では排尿困難・尿閉の恐れ、緑内障がある方では症状に影響する恐れがある
Beers Criteria 2023でも、第一世代抗ヒスタミン薬は高齢者で避けるべき薬として挙げられています。
塗り薬が基本:症状の強さで選ぶ

虫刺されのかゆみ・赤みであれば、まず塗り薬で対応するのが基本です。症状の強さによって選ぶものが変わります。
かゆみだけ・軽い症状 抗ヒスタミン外用薬(ジフェンヒドラミン系など)が候補になります。かゆみの原因であるヒスタミンの働きをブロックし、かゆみを抑えます。蚊に刺された程度であればまずこちらで様子を見るのが無難です。
赤み・腫れ・強いかゆみがある(炎症がある)場合 外用ステロイドまたはステロイド+抗ヒスタミン配合タイプが候補になります。日本皮膚科学会でも、赤みやかゆみが強い場合は外用ステロイドが必要とされています。
外用ステロイドの使い方の目安
- 5〜6日程度を目安に短期間使う
- 5〜6日使っても改善しない場合や悪化する場合は中止して受診する
- 顔・首など皮膚が薄い部位への使用は特に慎重に
- 広範囲に塗り続けない
高齢者は皮膚が薄く萎縮しやすいため、長期・広範囲の使用は避けてください。
高齢者で特に注意が必要な人
- 前立腺肥大がある方:飲み薬の第一世代抗ヒスタミンは尿閉の恐れがある
- 緑内障がある方:飲み薬の第一世代抗ヒスタミンは症状に影響する恐れがある
- 複数の薬を服用中の方:花粉症薬・かぜ薬との成分重複に注意
- 高齢者全般:飲み薬の眠気・転倒リスクが出やすい
受診を考えるライン
次のいずれかに当てはまる場合は、市販薬より先に医療機関への相談が適切です。
- 刺された場所が大きく腫れている・化膿している
- 全身のじんましん・息苦しさ・唇やのどの腫れ・めまいがある(アナフィラキシー疑いはすぐ救急)
- マダニに刺された可能性がある(自己判断で取り除かない)
- 1週間以上改善しない
- 虫の種類が分からず症状が強い
ドラッグストアでよく聞かれる相談

相談:「祖母が庭仕事中に虫に刺されて腕が腫れている。何を買えばいいか」
迷い:ステロイドと非ステロイドの違いが分からない。飲み薬も必要か
結論:腕の腫れの程度による。赤みとかゆみ程度であれば、まず外用ステロイドまたはステロイド+抗ヒスタミン配合タイプの塗り薬が候補。大きく腫れている・化膿している・発熱がある場合は受診を優先する。全身のじんましん・息苦しさ・唇やのどの腫れ・めまいがある場合は、アナフィラキシー疑いのためすぐ救急を検討する。
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この記事の根拠
1. 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A「虫刺され」 虫刺されの治療は、軽症であれば市販のかゆみ止め外用薬でよいが、赤みやかゆみが強い場合は外用ステロイドが必要とされています。
2. 厚生労働省 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(令和6年3月) 既承認のStrongクラスのOTCステロイド剤における使用上の注意として、「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師または登録販売者に相談する」と記載されていることが確認されています。
参照:厚生労働省 第27回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(令和6年3月12日)
3. PMDA 一般用医薬品 添付文書 ジフェンヒドラミンなどの第一世代抗ヒスタミン成分を含む一般用医薬品の添付文書には、前立腺肥大・緑内障・排尿困難のある方を相談対象とする記載があります。外用ステロイドの添付文書には、5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は中止して相談することが記載されています。
4. American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® 第一世代抗ヒスタミン薬は高齢者で避けるべき薬として収載されており、強い抗コリン作用による転倒・排尿困難・混乱などのリスクが示されています。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

