【成分辞書】抗コリン作用とは|排尿・眼圧・認知機能への影響を薬剤師が解説

高齢女性が薬局の棚の前で市販薬の注意書きを確認しながら考えているイラスト 成分辞書

市販薬の外箱や添付文書に「前立腺肥大の方」「緑内障の方は相談すること」と書いてあることがあります。その理由の一つが、抗コリン作用です。


抗コリン作用とは

抗コリン作用とは、排尿、目の調節、腸の動き、唾液分泌、脳の働きなどに関わるアセチルコリンの作用を弱めることです。

アセチルコリンは体のさまざまな機能を調節する神経伝達物質です。抗コリン作用を持つ薬がこの働きを妨げると、膀胱・目・腸・唾液腺・脳などに影響が出ます。


高齢者で特に問題になる理由

若い人では問題になりにくくても、高齢者では次の理由から影響が出やすくなります。

  • 薬の代謝・排泄が遅くなり、成分が体内に残りやすい
  • もともと排尿機能・認知機能が低下していることが多い
  • 複数の薬を服用中の場合、抗コリン作用が重なりやすい

少量・短期間の使用でも影響が出ることがあるため、注意が必要です。


体への影響まとめ

部位主な症状特に注意が必要な方
排尿尿が出にくい・残尿感・尿閉前立腺肥大がある方
緑内障がある方では症状に影響する恐れがある緑内障がある方
認知機能混乱・ぼんやり感・せん妄認知症がある方・高齢者
便秘高齢者全般
口渇高齢者全般

抗コリン作用に特に注意が必要な人

  • 前立腺肥大がある方:尿閉(尿が全く出なくなる)のリスクがある
  • 緑内障がある方:症状に影響する恐れがある
  • 認知症がある方:混乱・せん妄が出る恐れがある
  • 高齢者全般:影響が出やすく、転倒リスクにもつながる
  • 複数の薬を服用中の方:抗コリン作用が重なると影響が強くなる恐れがある

代表的な成分

市販薬に含まれる抗コリン作用が強い成分として次のものがあります。

抗ヒスタミン成分(第一世代)

  • d-クロルフェニラミン(花粉症薬・総合かぜ薬・咳止めに広く使われる)
  • ジフェンヒドラミン(睡眠改善薬・総合かぜ薬)
  • クレマスチン(鼻炎薬)

その他の抗コリン作用に注意が必要な成分

  • スコポラミン(乗り物酔い薬)

これらの成分が入った市販薬は、前立腺肥大・緑内障・認知症がある方は購入前に薬剤師に相談してください。


外箱で確認する場所は2つだけ

  1. 「相談すること」欄:前立腺肥大、緑内障、排尿困難に関する記載があるか確認する
  2. 「有効成分」欄:d-クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、クレマスチン、スコポラミンなどが含まれていないか確認する

これらの記載や成分がある製品は、購入前に薬剤師へ相談してください。


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この記事の根拠

1. American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® 第一世代抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン・ジフェンヒドラミン等)は、高齢者で避けるべき薬として収載されており、強い抗コリン作用による混乱・転倒・排尿困難などのリスクが示されています。

参照:American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® (J Am Geriatr Soc. 2023;71(7):2052-2081)

2. PMDA 一般用医薬品 添付文書 各成分を含む市販薬の添付文書には、前立腺肥大・緑内障・排尿困難のある方を相談対象とする記載があります。

参照:PMDA 添付文書検索(一般用医薬品)


この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

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