【成分辞書】H2ブロッカーとは|胃酸を抑える働きと高齢者・腎機能への注意点を薬剤師が解説

70代の高齢者がドラッグストアの棚の前で2種類の胃薬を見比べながら迷っている様子のイラスト 成分辞書

市販の胃薬の中に「ファモチジン」という成分が含まれているものがあります。胃酸を抑える効果が高い一方で、腎機能が低い方や高齢者では注意が必要な成分です。


H2ブロッカーとは

H2ブロッカーとは、胃の壁細胞にあるH2受容体(ヒスタミンH2受容体)をブロックすることで、胃酸の分泌を抑える成分です。胃痛・胸やけ・胃酸過多に効果があります。

市販薬では「ガスター10」などに含まれるファモチジンが代表的です。


制酸薬との違い

H2ブロッカー制酸薬
働き胃酸の分泌を抑える分泌された胃酸を中和する
効果の持続比較的長い比較的短い
腎臓への影響腎排泄のため注意が必要マグネシウム含有製品は腎機能低下で注意
代表的な成分ファモチジン炭酸水素ナトリウム・炭酸マグネシウムなど

高齢者・腎機能が低い方で注意が必要な理由

ファモチジンは主に腎臓から排泄されます。腎機能が低下していると排泄が遅れ、血中濃度が高くなる恐れがあります。

濃度が高くなると、次のような中枢神経系への影響が起きやすくなります。

  • 混乱・ぼんやり感
  • せん妄
  • めまい・ふらつき

2023年版AGS Beers Criteriaでも、H2ブロッカーはせん妄のある高齢者やせん妄リスクが高い場面で注意が必要な薬として挙げられています。高齢者では腎機能が低下していることが多く、特に注意が必要です。


H2ブロッカーに特に注意が必要な人

  • 腎機能が低い方・透析を受けている方:成分が蓄積する恐れがある
  • 高齢者全般:腎機能低下を背景に中枢神経系副作用が出やすい
  • せん妄のある方・せん妄リスクが高い方:症状が悪化する恐れがある
  • 複数の薬を服用中の方:飲み合わせの確認が必要

外箱で確認する場所は2つだけ

  1. 「有効成分」欄:ファモチジンが含まれているか確認する
  2. 「相談すること」欄:腎臓病に関する記載があるか確認する

これらの記載がある製品は、購入前に薬剤師へ相談してください。


ドラッグストアでよく聞かれる相談

相談:「腎臓が悪いと言われているが、胸やけがつらくてガスターを使いたい」

迷い:効果があると聞いているが、腎臓への影響が心配

結論:ファモチジンは腎排泄のため、腎機能が低い方では血中濃度が上がる恐れがある。腎機能の状態を薬剤師に伝えてから相談するのが基本


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この記事の根拠

1. PMDA 一般用医薬品 添付文書 ファモチジンを含む一般用医薬品の添付文書には、腎臓病がある方を相談対象とする記載があります。

参照:PMDA 添付文書検索(一般用医薬品)

2. American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® H2ブロッカーは、せん妄のある高齢者やせん妄リスクが高い場面で注意が必要な薬として挙げられています。ファモチジンは腎排泄のため、腎機能が低い高齢者では中枢神経系副作用にも注意が必要です。

参照:American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® (J Am Geriatr Soc. 2023;71(7):2052-2081)


この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

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