この記事を読んでほしい人
腎機能が低いと言われている方、または透析を受けている方で、便秘に市販の便秘薬を使おうか迷っている方、またはそのご家族
冒頭3行結論
✅ まず確認したいこと 腎機能が低い方が市販の便秘薬を使う場合は、自己判断より先に薬剤師または医師への相談が必要です。
❌ 特に注意が必要な成分
- 酸化マグネシウム(腎機能が低い方では体内に蓄積する恐れがある)
🧑⚕️ 相談が特に必要なケース
- 腎機能が低いと医師から言われている方
- 透析を受けている方
- 血液検査でクレアチニン・eGFRの値が気になっている方
酸化マグネシウムが「やさしい便秘薬」と言われる理由
酸化マグネシウムは腸を直接刺激しないため、刺激性下剤(センナ・ビサコジルなど)と比べて腹痛や習慣化のリスクが低いとされています。このため、高齢者にやさしい便秘薬として紹介されることが多い成分です。
ただし、腎機能が低い方では話が変わります。
腎機能が低い方で酸化マグネシウムが問題になる理由

酸化マグネシウムを服用すると、腸でマグネシウムの一部が吸収され、腎臓から排泄されます。腎機能が低下していると、このマグネシウムの排泄が遅くなり、血液中にマグネシウムが蓄積する恐れがあります(高マグネシウム血症)。
PMDAの安全性情報では、酸化マグネシウムについて高齢者や長期投与での高マグネシウム血症に注意が必要であり、使用は必要最小限にとどめることが示されています。
高マグネシウム血症の初期症状
次の症状が現れた場合は、服用を中止して医療機関を受診してください。
- 吐き気・嘔吐
- 血圧低下
- 徐脈(脈が遅くなる)
- 筋力低下・脱力感
- 傾眠(強い眠気)
これらの症状は進行すると重篤になる恐れがあるため、早めの対応が必要です。
刺激性下剤(センナ・ビサコジルなど)はどうか
刺激性下剤にはマグネシウム蓄積の問題はありませんが、下痢や脱水、電解質異常が起こると腎臓への負担が増す恐れがあります。また長期使用で習慣化する恐れがある点も変わりません。
腎機能が低い方に適した便秘薬の選択は、市販薬の範囲内で自己判断するより、医師・薬剤師への相談が適切です。
腎機能が低い方が薬剤師へ相談するときに伝えたい3点

- 腎機能の状態(クレアチニン値・eGFRの値、または透析の有無)
- 現在服用中の薬(お薬手帳があれば持参)
- 便秘の期間と症状(いつから、どの程度か)
この3点を伝えると、薬剤師が適切な選択肢を一緒に検討しやすくなります。
受診を考えるライン
次のいずれかに当てはまる場合は、市販薬で様子を見るより先に医療機関への相談が適切です。
- 酸化マグネシウムを服用後に吐き気・脱力感・強い眠気が現れた
- 透析を受けていて便秘が続いている
- 便秘が2週間以上続いている
- 血便・黒色便が出ている
- 激しい腹痛・嘔吐がある
ドラッグストアでよく聞かれる相談
相談:「腎臓が悪いと言われているが、便秘がつらくて酸化マグネシウムを使っていいか迷っている」
迷い:「高齢者にやさしい」と聞いたが、腎臓が悪くても使っていいのか
結論:腎機能が低い方では酸化マグネシウムのマグネシウム蓄積リスクがある。自己判断での使用は避け、腎機能の状態を薬剤師に伝えてから相談するのが基本
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この記事の根拠
1. PMDA 医薬品安全性情報 酸化マグネシウムを含む製剤については、腎障害、高齢者、長期投与では高マグネシウム血症に注意が必要であり、可能な限り最小限の使用にとどめること、吐き気、嘔吐、血圧低下、徐脈、筋力低下、傾眠などの初期症状が現れた場合は中止して受診することが示されています。
2. 便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症(日本消化管学会) 便秘治療では、患者の背景疾患や併用薬を踏まえて薬剤を選ぶことが重要です。腎機能が低い方では、市販薬を自己判断で選ばず、医師・薬剤師へ相談しながら使用を検討することが適切です。
3. PMDA 一般用医薬品 添付文書 酸化マグネシウムを含む一般用医薬品の添付文書には、腎臓病がある方を相談対象とする記載があります。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

