腎機能が低い人に市販の胃薬は使っていい?H2ブロッカーと制酸薬の注意点を薬剤師が解説

70代の高齢者がキッチンテーブルに座り、自分の体の状態を気にしながら使っていいか迷っている様子のイラスト 持病がある方の市販薬選び

この記事を読んでほしい人

腎機能が低いと言われている方、または透析を受けている方で、胃の不調に市販の胃薬を使おうか迷っている方、またはそのご家族


冒頭3行結論

まず確認したいこと 腎機能が低い方が市販の胃薬を使う場合は、自己判断より先に薬剤師または医師への相談が必要です。

特に注意が必要な成分

  • ファモチジン(H2ブロッカー):腎臓から排泄されるため、腎機能低下では蓄積する恐れがある
  • 炭酸マグネシウムなどのマグネシウム含有制酸成分:腎機能低下では蓄積する恐れがある

🧑‍⚕️ 相談が特に必要なケース

  • 腎機能が低いと医師から言われている方
  • 透析を受けている方
  • 複数の薬を服用中の方

腎機能が低い方でH2ブロッカーが問題になる理由

70代の高齢者がぼんやりした様子で椅子に座り、50代の家族が心配そうに見守っているイラスト

H2ブロッカー(ファモチジンなど)は胃酸の分泌を抑える成分で、市販薬では「ガスター10」などに含まれています。

ファモチジンは主に腎臓から排泄されます。腎機能が低下していると、排泄が遅れて血中濃度が高くなる恐れがあります。

濃度が高くなると、次のような中枢神経系への影響が起きやすくなります。

  • 混乱・ぼんやり感
  • せん妄
  • めまい・ふらつき

高齢者では腎機能が低下していることが多いため、特に注意が必要です。


炭酸マグネシウムなどの制酸薬も注意が必要な理由

一部の制酸薬には炭酸マグネシウムなどのマグネシウム含有成分が配合されています。腎機能が低い方ではマグネシウムが体内に蓄積する恐れがあり、注意が必要です(高マグネシウム血症)。

PMDAの安全性情報では、マグネシウム含有製剤について、腎障害、高齢者、長期投与では高マグネシウム血症に注意が必要であり、使用は必要最小限にとどめることが示されています。


高マグネシウム血症の初期症状

次の症状が現れた場合は、服用を中止して医療機関を受診してください。

  • 吐き気・嘔吐
  • 血圧低下
  • 徐脈(脈が遅くなる)
  • 筋力低下・脱力感
  • 傾眠(強い眠気)

比較的影響が少ないとされる選択肢と注意点

消化酵素・健胃成分(タカヂアスターゼなど)や整腸薬(ビフィズス菌・乳酸菌など)は、腎機能への直接の影響が比較的少ないとされています。

ただし、次の症状がある場合は市販薬で様子を見るのではなく、受診を優先してください。

  • 胃痛が強い・長く続く
  • 黒色便・タール便が出ている
  • 食欲低下・体重減少が続いている
  • 吐血がある

整腸薬・消化酵素は「逃がし先」ではなく、あくまで症状が軽い場合の選択肢です。症状が強い場合や長く続く場合は市販薬の種類にかかわらず受診が適切です。


薬剤師への相談3点セット

70代の高齢者が薬局カウンターで白衣の薬剤師に胃薬について相談している様子のイラスト

腎機能が低い方が市販の胃薬を選ぶとき、次の3点を薬剤師に伝えると適切な選択肢を一緒に検討しやすくなります。

  1. 腎機能の状態(クレアチニン値・eGFRの値、または透析の有無)
  2. 現在服用中の薬(お薬手帳があれば持参)
  3. 胃の症状の内容と期間(どんな症状が、いつから続いているか)

受診を考えるライン

次のいずれかに当てはまる場合は、市販薬で様子を見るより先に医療機関への相談が適切です。

  • 吐血・黒色便(タール便)が出ている
  • 胃の不調が2週間以上続いている
  • 体重減少・食欲低下が続いている
  • めまい・動悸・息切れを伴う胃の不調がある
  • ファモチジンを服用後に混乱・ぼんやり感が出た

ドラッグストアでよく聞かれる相談

相談:「腎臓が悪いと言われているが、胸やけがつらくてガスターを使いたい」

迷い:効果があると聞いているが、腎臓への影響が心配

結論:ファモチジンは腎排泄のため、腎機能が低い方では血中濃度が上がる恐れがある。自己判断での使用は避け、腎機能の状態を薬剤師に伝えてから相談するのが基本


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この記事の根拠

1. PMDA 一般用医薬品 添付文書 ファモチジンを含む一般用医薬品の添付文書には、腎臓病がある方を相談対象とする記載があります。炭酸マグネシウムなどのマグネシウム含有制酸成分を含む製品の添付文書にも、腎臓病がある方を相談対象とする記載があります。

参照:PMDA 添付文書検索(一般用医薬品)

2. PMDA 医薬品安全性情報 酸化マグネシウム製剤については、腎障害、高齢者、長期投与では高マグネシウム血症に注意が必要であり、可能な限り最小限の使用にとどめること、吐き気、嘔吐、血圧低下、徐脈、筋力低下、傾眠などの初期症状が現れた場合は中止して受診することが示されています。

3. American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® H2ブロッカーは、せん妄のある高齢者やせん妄リスクが高い場面で注意が必要な薬として挙げられています。高齢者では、腎機能低下などを背景に中枢神経系副作用(混乱・せん妄など)に注意が必要です。

参照:American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® (J Am Geriatr Soc. 2023;71(7):2052-2081)


この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

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