高齢者の下痢に市販薬は使っていい?下痢止めと整腸薬の違いと注意点を薬剤師が解説

70代の高齢者が体調不良で顔色が悪くソファに座っており50代の家族が市販薬より先に水分補給を促している全身のイラスト 持病がある方の市販薬選び

この記事を読んでほしい人

高齢の家族の下痢に市販薬を選んであげたい方、または高齢の方ご自身が下痢の対処法を知りたい方


冒頭3行結論

使える場合がある 発熱・血便・激しい腹痛がなく、明らかな食べすぎ・冷え・ストレスによる軽い下痢であれば、整腸薬や吸着薬が候補になります。高齢者では脱水に注意し、水分が取れない場合は受診を優先してください。

避けたい対応

  • 発熱・血便・激しい腹痛がある下痢にロペラミドなどの下痢止めを自己判断で使う
  • 水分が取れていないのに「様子を見る」

🧑‍⚕️ 受診が必要なケース

  • 血便・黒い便がある
  • 高熱がある
  • 激しい腹痛・嘔吐が続く
  • ぐったりしている・尿が少ない
  • 水分が取れない状態が続いている

市販の下痢薬の主な種類

下痢止め(止瀉薬)

ロペラミド塩酸塩(ロペラミン®など) 腸の動きを抑えて下痢を止める効果があります。即効性がありますが、感染性胃腸炎・食中毒が疑われる下痢では自己判断で使わないことが重要です。

タンニン酸アルブミン・次硝酸ビスマス 腸の粘膜を保護する効果があります。ロペラミドより作用が穏やかです。

木クレオソート(正露丸®など) 腸への直接的な殺菌作用・腸液分泌の抑制・腸の動きの調整という複合的な作用があります。ロペラミドとは作用の仕組みが異なります。

整腸薬

ビフィズス菌・乳酸菌・酪酸菌など 腸内環境を整える補助として候補になります。下痢だけでなく軟便・便秘にも使われます。腸の動きを直接止める作用はなく、軽い軟便やお腹の調子を整えたい場合に候補になります。

吸着薬

天然ケイ酸アルミニウムなど 腸内の余分な水分・毒素を吸着して便を固める効果があります。他の薬の吸収に影響する可能性があるため、複数の薬を飲んでいる方はお薬手帳を持って薬剤師に相談してください。


下痢止めを使う前に確認したい「止めてよい下痢か」

50代の家族が70代の高齢者の額に手を当てて発熱がないか確認し市販薬を使う前に症状を確かめている様子のアップイラスト

すべての下痢に同じ市販薬を使えばいいわけではありません。下痢の原因によって、使える薬・使えない薬が変わります。

非感染性の下痢(食べすぎ・冷え・ストレスなど)

発熱・血便・激しい腹痛がなく、明らかな原因に心当たりがある場合です。

  • ロペラミド:腸の動きを抑えて下痢を止める。即効性がある。非感染性の急性下痢では候補になることがあります。高齢者では持病や服薬を確認してから選びましょう。
  • 整腸薬:腸内環境を整える補助として候補になる
  • 吸着薬:余分な水分・毒素を吸着して便を固める

感染性胃腸炎・食中毒が疑われる下痢

発熱・腹痛・嘔吐を伴う、または食べたものに心当たりがある場合です。

感染性の下痢では、体が病原体や毒素を外に出そうとしている場合があります。自己判断でロペラミドを使うと、症状の悪化や回復の遅れにつながることがあるため注意が必要です。

木クレオソート配合薬も自己判断で使い分けない

木クレオソートを主成分とする製品(正露丸®など)は、ロペラミドとは作用の仕組みが異なります。ただし、食中毒や感染性胃腸炎が疑われる下痢で、市販薬を自己判断で使い分けることは避けてください。血便・高熱・激しい腹痛・強い嘔吐がある場合は、市販薬より受診を優先しましょう。

受診が必要な下痢(市販薬で対応できない)

次のいずれかがある場合は市販薬より先に受診してください。

  • 血便・黒い便
  • 38度以上の高熱
  • 激しい腹痛・嘔吐が続く
  • ぐったりしている
  • 水分が全く取れない

高齢者で特に注意が必要なこと

脱水リスクが高い 高齢者は体内の水分量が少なく、口渇感も低下しているため、下痢による脱水が進みやすいです。「口が渇く」と感じる前に、こまめな水分補給が重要です。

薬の飲み合わせ 複数の薬を服用している高齢者では、下痢止めとの飲み合わせに注意が必要な場合があります。購入前にお薬手帳を持って薬剤師に確認してください。

整腸薬は補助として 整腸薬は腸内環境を整える補助として候補になります。ただし、血便・高熱・激しい腹痛・水分が取れないなどの症状がある場合は、整腸薬で様子を見続けず受診してください。


受診を考えるライン

次のいずれかに当てはまる場合は、市販薬より先に受診が適切です。

  • 血便・黒い便がある
  • 38度以上の発熱がある、または高齢者で発熱・寒気・ぐったり感がある
  • 激しい腹痛・嘔吐が続く
  • ぐったりしている・意識がぼんやりする
  • 尿が少ない・口が渇く・目がくぼむ(脱水のサイン)
  • 水分が全く取れない状態が続いている
  • 下痢が2〜3日以上続いている、または回数が多く脱水が心配な場合

ドラッグストアでよく聞かれる相談

50代の家族の背後から白衣の薬剤師が高齢の親の下痢症状が受診が必要かどうかを真剣に確認している様子のイラスト

相談:「80代の母が昨日から下痢をしている。発熱はないが何を買えばいいか」

迷い:下痢止めを買えばいいか、整腸薬の方がいいか分からない

結論:発熱・血便・激しい腹痛がなければ、まず水分補給を行い、症状を確認しながら整腸薬を補助的に使う選択肢があります。食中毒が疑われる場合(昨日食べたものに心当たりがあるなど)は、ロペラミドを自己判断で使わず薬剤師に相談してください。水分が取れない・ぐったりしている場合は受診を優先しましょう。


関連記事


この記事の根拠

1. 厚生労働省 家庭でできる食中毒予防 腹痛・下痢・吐き気などの症状が出た場合は医師に相談するよう案内されています。食中毒が疑われる場合は自己判断で対処せず、医療機関への相談が重要です。

参照:厚生労働省 食中毒予防

2. PMDA 一般用医薬品 添付文書・使用上の注意 ロペラミド塩酸塩を含む一般用医薬品の添付文書には、発熱を伴う下痢・血便・粘液便・急性の激しい下痢では服用前に医師または薬剤師へ相談すること、無理に下痢を止めると病気を悪化させることがある旨が記載されています。本記事では、感染性下痢が疑われる場合にロペラミドを自己判断で使わないよう説明する根拠として参照しています。

参照:PMDA 添付文書検索(一般用医薬品)


この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました