この記事を読んでほしい人 市販の鼻づまり薬・鼻炎薬を使ったあとに、動悸・胸のドキドキが気になっている方
冒頭3行結論
✅ まずすること 飲んでいる鼻づまり薬・鼻炎薬の服用をいったん中止する。症状が続くようなら薬剤師または医療機関に相談する
⚠️ 動悸が出やすい成分
市販の鼻炎薬・かぜ薬を使ったあとに動悸・胸のドキドキが気になりはじめた場合は、服用を中止して薬剤師に相談してください。
交感神経を刺激する鼻づまり成分
- プソイドエフェドリン(動悸・頻脈が出る恐れがある)
- dl-メチルエフェドリン(動悸・血圧上昇の恐れがある)
抗コリン作用のある抗ヒスタミン成分
- d-クロルフェニラミン(頻脈が出る恐れがある)
- クレマスチン(頻脈・動悸が出る恐れがある)
- ベラドンナ総アルカロイド(頻脈・口渇が出やすい)
🚨 すぐ受診
- 動悸と同時に胸の痛み・圧迫感が出ている
- 息苦しさ・めまい・失神しそうな感覚がある
- 動悸が止まらず1時間以上続いている
現場から|ドラッグストアでよく聞かれる相談
相談: 「最近なんか動悸がするんですよね。何かの病気かな、と思って…」と来店された方に話を聞くと、数日前から鼻づまりがひどくて市販の総合鼻炎薬を飲み続けていた。
迷い: 動悸と鼻炎薬を結びつけていなかった。「鼻の薬を飲んでいる」ということは最初から言っていなかった。
結論: 飲んでいた総合鼻炎薬にプソイドエフェドリンとd-クロルフェニラミンが入っていた。まず服用を中止してもらい、動悸が続くようなら内科を受診するよう伝えた。次に鼻づまりがつらいときのためにステロイド点鼻薬を案内した。
鼻づまり薬で動悸が起きるしくみ
市販の鼻炎薬・総合かぜ薬には、鼻の通りをよくするために交感神経を刺激する成分が配合されていることがあります。この成分は鼻の血管を収縮させる一方で、心臓にも作用して動悸・頻脈・血圧上昇が出る恐れがあります。
また、鼻水・くしゃみを抑える抗コリン作用のある抗ヒスタミン成分にも、頻脈・動悸が出やすい成分があります。抗コリン作用を持つ成分には、抗ヒスタミン成分のほかベラドンナ総アルカロイドのように頻脈・動悸が出やすいものがあります。
1回飲んだだけでは気づかなくても、数日続けて使うことで症状が出てくるケースがあります。「飲み始めてからなんとなく胸がドキドキする」という場合は、鼻炎薬の成分が原因の可能性があります。
動悸が出やすいのはこんな人
以下に当てはまる方は、成分の影響が出やすい傾向があります。
- 心疾患(不整脈・狭心症・心不全など)の治療中
- 高血圧の治療中
- 甲状腺機能亢進症の治療中
- カフェインを多く摂っている(コーヒー・エナジードリンク等)
- 高齢の方
動悸が出たときの判断フロー
症状の程度によって対応が変わります。
すぐに受診が必要な症状
次の症状が1つでもある場合は、すぐに内科・循環器科を受診してください。
- 胸の痛み・圧迫感(狭心症・心筋梗塞の可能性があります)
- 息苦しさ・呼吸困難
- めまい・失神しそうな感覚
- 動悸が1時間以上止まらない
- 顔色が悪い・冷や汗が出ている
服用を中止して様子を見てよい症状
次の場合は、まず服用を中止して様子を見てください。
- 動悸・胸のドキドキがあるが、胸痛・息苦しさ・めまいはない
- 数時間以内に治まっている
- 全身状態は普段と変わらない
ただし、中止後も動悸が数日続く場合は医療機関を受診してください。
薬剤師メモ: 「最近動悸がする」という相談から話を聞くと、数日前から鼻炎薬を飲み続けていたというケースがあります。動悸と市販薬を結びつけていないことがほとんどで、「鼻の薬を飲んでいる」という情報を最初から伝えてくれないことも多いです。市販薬も含めて何を飲んでいるかを薬剤師に伝えることが、原因の特定を早くします。
動悸が出やすい成分と理由(一言解説)
交感神経刺激系の鼻づまり成分
鼻の血管を収縮させる成分です。心臓にも作用して動悸・頻脈・血圧上昇が出る恐れがあります。
- プソイドエフェドリン:総合鼻炎薬・かぜ薬に最もよく使われる鼻づまり成分
- dl-メチルエフェドリン:同系の成分。かぜ薬・鼻炎薬の両方に使われる
抗コリン作用のある抗ヒスタミン成分
抗コリン作用の副作用として頻脈・動悸が出る恐れがあります。
- d-クロルフェニラミン(頻脈が出る恐れがある)
- クレマスチン(頻脈・動悸が出る恐れがある)
- ベラドンナ総アルカロイド(頻脈・口渇が出やすい成分)
漢方薬のマオウ(麻黄)にも注意
葛根湯・麻黄湯・小青竜湯などマオウを含む漢方薬には、エフェドリン類が含まれており動悸・不眠・血圧上昇の恐れがあります。「漢方だから安全」という認識が動悸の原因を見逃すことがあります。
外箱の確認方法

飲んでいる鼻炎薬・かぜ薬の外箱で次の項目を確認してください。
- 「してはいけないこと」欄:「心臓病の方」「高血圧の方」の記載がある製品は、心臓への影響が出やすい成分が含まれている可能性があります
- 「副作用」欄:「動悸」「頻脈」の記載がある製品はリスクが高い成分が含まれています
- 「有効成分」欄:上記のプソイドエフェドリン・dl-メチルエフェドリン・d-クロルフェニラミン・ベラドンナ総アルカロイドが含まれていないか確認してください
次に鼻づまりがつらくなったときの選び方
動悸が出た製品は次回から避け、成分が単純な選択肢を選ぶのが基本です。
ステロイド配合の点鼻薬を優先する
交感神経刺激成分・抗コリン成分を含まないため、動悸が出にくい傾向があります。効果が出るまで数日かかることがありますが、連用できる選択肢です。
内服薬が必要なときは成分を確認する
交感神経刺激系の鼻づまり成分(プソイドエフェドリン等)と抗コリン作用のある抗ヒスタミン成分を含まない製品を、薬剤師と確認しながら選んでください。
心疾患・不整脈の治療中なら購入前に相談する
治療中の薬との飲み合わせがある場合も多いです。お薬手帳を持参して薬剤師に確認してください。
薬剤師に伝える3点セット

1. 飲んでいた鼻炎薬の外箱または現物
成分名が確認できると、動悸の原因特定が早くなります。
2. 飲み始めてからの日数と動悸が出始めたタイミング
「3日前から飲んで、昨日から動悸がする」など、タイミングが分かると判断しやすくなります。
3. お薬手帳
心疾患・高血圧・甲状腺など他の治療中の薬がある場合は、必ず持参してください。
よくある質問
Q. 鼻炎薬を中止したら動悸はすぐ治まるか?
成分が体内から排泄されれば治まることが多いですが、個人差があります。中止後、数時間たっても改善しない場合や、胸痛・息苦しさが出る場合は医療機関を受診してください。
Q. 心疾患の治療中でも使える鼻づまり薬はあるか?
ステロイド配合の点鼻薬は交感神経刺激成分・抗コリン成分を含まないため比較的選びやすい傾向があります。ただし治療中の薬との関係もあるため、必ず薬剤師またはかかりつけ医に確認してください。
Q. 動悸が出た市販薬を飲みながら仕事や運転を続けてもいいか?
動悸・めまいが出ている間は、車の運転・高所作業など危険を伴う作業は避けてください。服用を中止して症状が治まってから判断してください。
受診・相談の目安
すぐに受診(救急含む)
- 胸の痛み・圧迫感がある
- 息苦しさ・失神しそうな感覚がある
- 動悸が1時間以上止まらない
数日以内に受診
- 服用を中止したが動悸が続いている
- 以前も同じ症状が出たことがある
- 心疾患・不整脈の治療中に動悸が出た
薬剤師に相談
- 動悸は治まったが、次に鼻づまりがつらいときの選び方を知りたい
- 飲んでいた薬の成分を確認したい
まとめ:判断フロー
鼻づまり薬を飲んで動悸が出た
↓
まず服用を中止する
↓
症状の程度を確認する
├── 胸痛・息苦しさ・めまい・失神感がある → すぐに受診
├── 動悸が1時間以上続いている → すぐに受診
└── 動悸だけ・全身状態は普段と同じ
├── 数時間で治まった → 様子を見る
│ └── 再び出るようなら薬剤師に相談
└── 翌日も続く → 医療機関を受診する
次に鼻づまりがつらくなったとき
└── ステロイド点鼻薬を優先する
└── 内服が必要なら薬剤師に成分を確認してから選ぶ
関連記事
- 心疾患がある人の鼻づまり薬|避けたい成分と選び方
- 高血圧の薬を飲んでいる人の鼻づまり薬|避けたい成分と選び方
- 緑内障がある人の鼻づまり薬|避けたい成分と相談目安
- 前立腺肥大がある人の鼻づまり薬|排尿が悪化しやすい成分
この記事の根拠
1. PMDA 一般用医薬品 添付文書(プソイドエフェドリン配合製品) プソイドエフェドリンを含む市販薬の添付文書には、「してはいけないこと」の欄に心臓病・高血圧の方への注意、「副作用」の欄に動悸・頻脈の記載があります。本記事の「動悸が出やすい成分」はこの記載に基づいています。
参照:PMDA 添付文書(プソイドエフェドリン配合 OTC 製品)
2. 厚生労働省「かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意」 交感神経刺激成分や抗コリン作用を持つ成分を含む製剤では、心臓病・高血圧への注意や副作用に関する記載が求められています。外箱や添付文書の注意文言はこの通知に基づいています。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

