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腎機能が低いと言われている方、または心疾患(心不全・弁膜症など)の治療中で、下痢が続いたときの対処法や水分補給の方法が分からない方、またはそのご家族
冒頭3行結論
✅ 基本の考え方 下痢による脱水を防ぐことが重要ですが、腎機能低下・心疾患がある方では水分補給の量と内容にも注意が必要です。自己判断で動く前に、かかりつけ医または薬剤師に確認することが適切です。
❌ 避けたい対応
- 腎機能が低いのにNSAIDs系の薬(痛み止め・解熱剤など)を一緒に使う
- 心疾患・腎機能低下があるのに経口補水液を大量に飲む
- 下痢が続いているのに水分補給の方法が分からないまま様子を見る
🧑⚕️ 早めの受診が必要なケース
- 下痢が2日以上続く、または回数が多く水分が取れていない
- 尿が少ない・口が渇く・ぐったりしている(脱水のサイン)
- むくみが悪化している・息苦しい(水分や心臓への負担が増えている可能性)
- 血便・高熱・激しい腹痛がある
腎機能が低い方で下痢が続くと注意が必要な理由
腎機能が低下している方では、次の理由から下痢が続くと問題が起きやすくなります。
脱水による腎機能のさらなる低下 下痢で水分が失われると、腎臓への血流が減り、腎機能がさらに低下することがあります。特に慢性腎臓病(CKD)がある方では、急性の脱水が腎機能に影響しやすいとされています。
電解質バランスの乱れ 下痢ではナトリウム・カリウムなどの電解質も失われます。腎機能が低下していると電解質の調整が難しくなり、高カリウム血症や低ナトリウム血症などが起きることがあります。
市販薬との兼ね合い 腎機能が低い方では、下痢に使う市販薬の種類にも注意が必要です。NSAIDs(痛み止め・解熱剤)を同時に使うと腎機能への負担が重なる場合があります。
心疾患がある方で下痢が続くと注意が必要な理由
心疾患(心不全・弁膜症など)がある方では、下痢による急激な水分喪失が循環動態に影響することがあります。
急激な脱水による血圧変動・動悸 下痢で多くの水分が失われると、血液量が減り、血圧が下がったり動悸が出やすくなることがあります。
利尿薬との組み合わせ 心疾患の治療で利尿薬を服用している方は、もともと水分が出やすい状態です。下痢が重なると脱水が進みやすくなります。
下痢で水分が失われる一方で、補水の仕方によってはむくみや息切れが悪化することもあります。心不全などで水分・塩分制限を受けている方は、自己判断で大量に飲まないことが大切です。
水分補給は必要だが、飲みすぎにも注意

下痢では脱水を防ぐための水分補給が重要ですが、腎機能低下・心疾患がある方では「飲めば飲むほどよい」とはいえません。
経口補水液(OS-1など)の注意点 経口補水液は軽度〜中等度の脱水に向いた製品ですが、100mLあたり食塩相当量0.292g・カリウム78mgを含みます。腎機能が低い方では水分・ナトリウム・カリウムの摂り方に制限がある場合があります。心疾患がある方では水分・塩分の過剰摂取がむくみや心臓への負担につながることがあります。
OS-1の公式情報でも、腎臓病・高血圧・糖尿病などで食事指導を受けている方はかかりつけ医に相談するよう案内されています。自宅にある経口補水液を飲む場合でも、一度に多量に飲まず、持病による水分・塩分制限がある方は事前に確認してください。
水分補給の目安はかかりつけ医に確認を 腎機能や心疾患の程度によって、1日の水分摂取量の目安が異なります。下痢が続く場合は、どのくらい・何を飲めばよいかをかかりつけ医または薬剤師に確認してください。
市販の下痢薬で対応できる範囲
発熱・血便・激しい腹痛がない軽い下痢であれば、整腸薬が補助として候補になることがあります。
ただし腎機能低下・心疾患がある方では次の点に注意してください。
- ロペラミドなどの下痢止めは、使用前に薬剤師か主治医に確認する
- 他の薬との飲み合わせをお薬手帳で確認する
- 市販薬を使っても改善しない・症状が悪化する場合はすぐ受診する
かかりつけ医・薬剤師への相談ポイント
- 腎機能・心疾患の状態(直近の検査値や治療内容が分かれば)
- 服用中の薬の名前(お薬手帳があれば持参)
- 下痢の内容と水分摂取の状況(いつから・何回・水分が取れているか)
受診を考えるライン
次のいずれかに当てはまる場合は、市販薬より先にかかりつけ医または救急への相談が適切です。
- 下痢が2日以上続く、または回数が多く水分が取れていない
- むくみが悪化している・息苦しい(水分や心臓への負担が増えている可能性)
- 尿が少ない・口が渇く・ぐったりしている
- 血便・黒い便がある
- 38度以上の発熱、または高齢者でぐったり感・寒気がある
ドラッグストアでよく聞かれる相談

相談:「腎臓病の父が下痢をしている。経口補水液を飲ませればいいか」
迷い:脱水が心配だが、経口補水液を飲ませていいか分からない
結論:腎機能が低い方では経口補水液の量に注意が必要。飲む量・内容についてかかりつけ医または薬剤師に確認することが適切。むくみが悪化している、尿が少ない、ぐったりしている場合は、経口補水液を飲ませる前に受診を優先してください。
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この記事の根拠
1. 経口補水液(OS-1)製品情報 OS-1は100mLあたり食塩相当量0.292g・カリウム78mgを含む病者用食品です。腎臓病・高血圧・糖尿病などで食事指導を受けている方はかかりつけ医に相談するよう案内されています。
2. 慢性腎臓病(CKD)とカリウム・水分管理 腎機能が低下するとカリウムの排泄が追いつかなくなり、高カリウム血症が起きやすくなります。水分・電解質の管理が重要とされています。
参照:慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 慢性腎臓病(CKD)
3. PMDA 一般用医薬品 添付文書 ロペラミド塩酸塩を含む一般用医薬品では、製品ごとの添付文書で持病や服薬中の薬などに関する相談事項が記載されています。本記事では、腎機能低下や複数薬を服用している方が自己判断で下痢止めを選ばないよう説明する根拠として参照しています。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。
