心疾患・腎機能が低い人の熱中症対策|水分補給の注意点とかかりつけ医への相談ポイントを薬剤師が解説

70代の高齢者がキッチンテーブルでグラスを両手で持ちながら心臓の持病を気にして水分をどのくらい飲んでいいか考えている様子のイラスト 持病がある方の市販薬選び

この記事を読んでほしい人

心疾患(心不全・弁膜症など)または腎機能が低いと言われている方・透析中の方で、夏の水分補給や熱中症対策をどうすればいいか迷っている方、またはそのご家族


冒頭3行結論

基本の考え方 水分補給は大切だが、持病がある方は「何をどのくらい飲むか」をかかりつけ医に確認しておくことが重要。

避けたい思い込み

  • 「経口補水液をたくさん飲めば熱中症を防げる」:心疾患・腎機能低下がある方では水分・塩分・カリウムの過剰摂取が症状悪化につながる恐れがある
  • 「のどが渇いたら飲めばいい」:高齢者は口渇感が低下しているため、症状が出る前に対策が必要

🧑‍⚕️ 特に注意が必要なケース

  • 心不全・弁膜症などで水分制限の指示がある方
  • 透析中・腎機能が高度に低下している方
  • 利尿薬・降圧薬など複数の薬を服用している方

心疾患がある方で水分補給に注意が必要な理由

心臓の機能が低下している方(心不全・弁膜症など)では、余分な水分が体にたまりやすくなっています。

水分・塩分を過剰に摂ると起きやすいこと

  • 体内の水分が増え、心臓への負担が増す
  • 足や顔のむくみが悪化する
  • 肺に水がたまって息苦しくなる(肺うっ血)
  • 血圧が上昇する

経口補水液(OS-1など)は100mLあたり食塩相当量0.292g・カリウム78mgを含みます。500mLでは食塩相当量約1.46g・カリウム約390mgになります。心疾患がある方では、この量が体への負担になることがあります。

「暑いから体のために飲む」という善意の行動が、心臓への負担につながることがあるため、事前にかかりつけ医に適切な水分量を確認しておくことが重要です。


腎機能が低い方・透析中の方で注意が必要な理由

腎機能が低下している方では、水分・ナトリウム・カリウムなどの排泄が十分にできなくなっています。

経口補水液を飲みすぎると起きやすいこと

  • 体内の水分量が過剰になる(溢水)
  • ナトリウム(塩分)の蓄積で血圧上昇・むくみ
  • カリウムの蓄積で高カリウム血症(不整脈のリスク)

透析中の方は、透析と透析の間の水分や電解質の管理が重要です。熱中症予防のための水分補給は必要ですが、量と内容は透析担当の医師に必ず確認してください。


高血圧がある方への注意

経口補水液には塩分が含まれるため、高血圧がある方では日常的に大量に飲み続けることは避け、使用量をかかりつけ医に確認することが適切です。


持病がある方はどう水分補給すればいいか

持病がある方の水分補給は、個人の病状・治療内容によって最適な量や方法が異なります。一律のアドバイスが難しい領域であるため、次の3点をかかりつけ医に確認しておくことが最も安全です。

かかりつけ医に確認すべき3点

70代の高齢者の背後から白衣の医師か薬剤師が夏前の水分管理について確認ポイントを丁寧に説明している様子のイラスト
  1. 1日の水分摂取量の目安(制限がある場合は具体的な量)
  2. 経口補水液・スポーツドリンクを使っていいか(持病や薬との兼ね合い)
  3. 利尿薬など薬の影響で脱水しやすい状態にないか

暑くなる前に一度確認しておくと、夏場の対応がしやすくなります。


熱中症のリスクを下げる日常のポイント

水分補給以外にも次の対策が重要です。

  • 室温を適切に管理する(エアコンを我慢しない)
  • 朝・昼・夕と就寝前にこまめに水分を補給するタイミングを決める
  • 急に暑くなる日(梅雨明け直後など)は特に注意する
  • 体調が悪いと感じたら早めに涼しい場所に移動する

受診を考えるライン

次のいずれかに当てはまる場合は、市販の経口補水液を飲むより先に医療機関または救急への相談が適切です。

  • 意識がない・けいれん・自力で水分を飲めない(すぐ救急)
  • 経口補水液を飲んだ後にむくみ・息苦しさが悪化した
  • 体温が上がっている・頭痛・吐き気がある
  • 心疾患・腎機能低下があり水分補給の量が分からない

ドラッグストアでよく聞かれる相談

相談:「心不全の治療中の父が暑がっている。経口補水液を飲ませていいか」

迷い:熱中症が心配だが、心臓に負担がかかると聞いた。何をどのくらい飲ませればいいか

結論:心不全がある方では水分・塩分の過剰摂取が心臓への負担になることがある。まずかかりつけの医師に1日の水分摂取量と経口補水液使用の可否を確認することが適切。意識がおかしい・息苦しいなどがあれば経口補水液より先に受診または救急を検討する


関連記事


この記事の根拠

1. 経口補水液(OS-1)成分情報 OS-1は100mLあたり食塩相当量0.292g・カリウム78mgを含む病者用食品です。500mLでは食塩相当量約1.46g・カリウム約390mgとなります。心疾患・腎機能低下がある方では量の管理が必要です。

参照:大塚製薬工場 OS-1製品情報

2. 慢性腎臓病(CKD)とカリウム管理 腎機能が低下するとカリウムの排泄が追いつかなくなり、高カリウム血症(血液中のカリウム濃度が高くなる状態)が起きやすくなります。高カリウム血症では不整脈のリスクが高まるため、腎機能が低下している方ではカリウムを含む飲食物の管理が重要とされています。

参照:慶應義塾大学医学部 腎臓内分泌代謝内科 慢性腎臓病(CKD)

3. 環境省 熱中症予防情報サイト 高齢者では体温調節機能の低下・口渇感の低下により熱中症リスクが高いとされています。

参照:環境省 熱中症予防情報サイト

4. 厚生労働省 熱中症対策 利尿薬など一部の薬は脱水を引き起こしやすく、熱中症のリスクを高める可能性があるとされています。

参照:厚生労働省 熱中症関連情報


この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました