前立腺肥大・緑内障がある人に市販のかゆみ止めは使っていい?抗ヒスタミン成分の注意点を薬剤師が解説

70代の男性高齢者がドラッグストアの棚の前で持病を気にしながらかゆみ止めを選ぶか迷っている様子のイラスト 持病がある方の市販薬選び

この記事を読んでほしい人

前立腺肥大または緑内障の治療中で、皮膚のかゆみに市販のかゆみ止めを使おうか迷っている方、またはそのご家族


冒頭3行結論

買うなら 塗り薬(外用ステロイド・抗ヒスタミン外用薬)を優先する。局所のかゆみであれば塗り薬で対応できることが多い。

避けたい成分

  • d-クロルフェニラミン・ジフェンヒドラミンなどの第一世代抗ヒスタミン内服:前立腺肥大では尿閉、緑内障では症状悪化の恐れがある

🧑‍⚕️ 相談が特に必要なケース

  • 前立腺肥大がある方:飲み薬を使う前に必ず薬剤師へ相談する
  • 緑内障がある方:緑内障の種類(開放隅角・閉塞隅角)と眼科からの指示を薬剤師に伝える
  • 塗り薬でも改善しない場合:受診を検討する

かゆみ止めの飲み薬に含まれる第一世代抗ヒスタミン成分とは

市販のかゆみ止めの飲み薬には、第一世代抗ヒスタミン成分(d-クロルフェニラミン・ジフェンヒドラミン・クレマスチンなど)が含まれています。

これらの成分は抗コリン作用が強く、前立腺肥大・緑内障がある方では特に注意が必要です。花粉症薬や総合かぜ薬にも同じ成分が含まれていることがあります。


前立腺肥大がある方で問題になる理由

第一世代抗ヒスタミン成分は抗コリン作用により、膀胱の収縮を妨げる働きがあります。前立腺肥大がある方では、もともと尿の出が悪くなりやすい状態のため、さらに悪化する恐れがあります。

  • 尿が出にくくなる・残尿感が増す恐れがある
  • 重篤な場合は**尿閉(まったく尿が出なくなる)**になる恐れがある

PMDA の一般用医薬品添付文書でも、ジフェンヒドラミン・d-クロルフェニラミンを含む製品では、前立腺肥大による排尿困難がある方を相談対象としています。


緑内障がある方で問題になる理由

70代の男性高齢者が椅子に座り下腹部の不快感を感じながら心配そうな表情をしているイラスト

第一世代抗ヒスタミン成分の抗コリン作用は、目の瞳孔を開く方向に働くことがあります。閉塞隅角緑内障の方では眼圧が上昇し、症状が悪化する恐れがあります。

  • 閉塞隅角緑内障:眼圧上昇・症状悪化の恐れがあり、特に注意が必要
  • 開放隅角緑内障:緑内障の種類によって注意点が異なるため、自己判断は避ける

緑内障の種類が分からない場合や、眼科から薬の使用について指示がある場合は、必ず薬剤師に伝えてから選んでください。


塗り薬(外用薬)は使えるか

外用のかゆみ止め(外用ステロイド・抗ヒスタミン外用薬)は、塗り薬として局所に使う場合、全身への抗コリン作用は出にくいとされています。

前立腺肥大・緑内障がある方でも、局所のかゆみに限られ、用法・用量を守って使う場合は、塗り薬が選択肢になりやすいです。ただし次の点は守ってください。

  • 広範囲・長期使用は避ける
  • 外用ステロイドは5〜6日程度を目安に短期間使い、改善しない場合は中止して受診する
  • 症状が強い・広がっている場合は塗り薬より先に受診を検討する

薬剤師への相談3点セット

市販のかゆみ止めを選ぶとき、次の3点を薬剤師に伝えると適切な選択肢を一緒に検討しやすくなります。

  1. 持病の内容(前立腺肥大・緑内障の種類、治療中かどうか)
  2. 現在服用中の薬(お薬手帳があれば持参)
  3. かゆみの場所と状態(局所か・全身か・どの程度の症状か)

受診を考えるライン

次のいずれかに当てはまる場合は、市販薬より先に医療機関への相談が適切です。

  • 塗り薬を5〜6日使っても改善しない・悪化する
  • 全身にかゆみがある(腎機能低下などの基礎疾患の可能性)
  • かゆみに加えて発熱・滲出液・広範囲の皮膚症状がある
  • 飲み薬を使った後に排尿困難・目の異常が出た

ドラッグストアでよく聞かれる相談

70代の男性高齢者が薬局カウンターで白衣の薬剤師に持病に合わせたかゆみ止めの選び方を相談している様子のイラスト

相談:「前立腺肥大があるが、虫刺されのかゆみがひどくてかゆみ止めを飲みたい」

迷い:飲み薬は前立腺に影響するか。何なら使っていいか分からない

結論:虫刺され程度の局所のかゆみであれば、まず塗り薬(外用ステロイドや抗ヒスタミン外用薬)が候補。飲み薬の第一世代抗ヒスタミンは前立腺肥大がある方では排尿困難が悪化する恐れがあるため、購入前に薬剤師に相談するのが基本


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この記事の根拠

1. PMDA 一般用医薬品 添付文書 ジフェンヒドラミン・d-クロルフェニラミンなどの第一世代抗ヒスタミン成分を含む一般用医薬品の添付文書には、前立腺肥大による排尿困難がある方・緑内障がある方を相談対象とする記載があります。外用ステロイドを含む一般用医薬品(StrongクラスOTC)の添付文書には、「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師または登録販売者に相談すること」および長期連続使用の注意が記載されています。

参照:PMDA 添付文書検索(一般用医薬品)

2. 厚生労働省 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(令和6年3月) 既承認のStrongクラスのOTCステロイド剤における使用上の注意として、「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師または登録販売者に相談する」と記載されていることが確認されています。

参照:厚生労働省 第27回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議 議事次第(令和6年3月12日)

3. American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® 第一世代抗ヒスタミン薬は高齢者で避けるべき薬として収載されており、強い抗コリン作用による転倒・排尿困難・混乱などのリスクが示されています。

参照:American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® (J Am Geriatr Soc. 2023;71(7):2052-2081)


この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

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