この記事を読んでほしい人
高齢の親の皮膚のかゆみが続いていて、ドラッグストアで市販薬を選んであげたいと思っている方
冒頭3行結論
✅ 買うなら まず塗り薬(外用ステロイド・抗ヒスタミン外用薬)を優先する。局所のかゆみであれば塗り薬で対応できることが多い。
❌ 避けたい選択
- 親に前立腺肥大・緑内障がある場合、飲み薬の第一世代抗ヒスタミンは自己判断で選ばない
- 「とりあえず飲み薬」で全身のかゆみを抑えようとする
🧑⚕️ 相談が特に必要なケース
- 親に前立腺肥大・緑内障・腎機能低下などの持病がある場合
- 全身にかゆみがある場合(基礎疾患の可能性がある)
- 塗り薬を5〜6日使っても改善しない場合
高齢者の皮膚がかゆくなりやすい理由
高齢になると、皮膚のかゆみが起きやすくなる背景がいくつかあります。
- 皮膚の水分・油分が減り、乾燥しやすくなる
- 皮膚のバリア機能が低下し、外からの刺激に弱くなる
- 血行が悪くなりやすく、皮膚の修復力が低下する
- 複数の薬の副作用としてかゆみが出ることがある
高齢者の皮膚のかゆみは、乾燥・湿疹・虫刺されなど局所的な原因が多いですが、全身のかゆみが続く場合は腎機能低下などの基礎疾患が関わっていることもあります。
塗り薬と飲み薬の使い分け

まず塗り薬を検討する
局所のかゆみ・湿疹・虫刺されであれば、まず塗り薬で対応できるケースが多いです。
外用ステロイド 炎症・湿疹・かぶれに効果があります。市販品は比較的弱いランクが多く、用法・用量を守って5〜6日程度を目安に使うのが基本です。5〜6日使っても改善しない場合や悪化する場合は中止して受診を検討してください。
高齢者は皮膚が薄く萎縮しやすいため、顔・首・皮膚が薄い部位への長期使用は特に慎重にしてください。
抗ヒスタミン外用薬 虫刺され・局所のかゆみに使われます。塗り薬として使う場合、全身への抗コリン作用は出にくいとされています。
飲み薬を避けた方がいいケース
飲み薬のかゆみ止めには第一世代抗ヒスタミン成分(d-クロルフェニラミン・ジフェンヒドラミンなど)が含まれています。
次のいずれかに当てはまる親には、飲み薬を自己判断で選ばないでください。
- 前立腺肥大がある親:尿閉(まったく尿が出なくなる)の恐れがある
- 緑内障がある親:閉塞隅角緑内障では眼圧上昇の恐れがある
- 認知症がある親・高齢者全般:混乱・せん妄・転倒リスクが出やすい
- 複数の薬を服用中の親:花粉症薬・かぜ薬との成分重複に注意
代理購入のとき薬剤師に伝えたい3点

ドラッグストアで親の代わりにかゆみ止めを選ぶとき、次の3点を薬剤師に伝えると適切な選択肢を一緒に検討しやすくなります。
- 親の持病(前立腺肥大・緑内障・腎機能低下など)
- 現在服用中の薬(お薬手帳があれば持参、または薬の名前をメモしておく)
- かゆみの場所と状態(局所か全身か・どの程度の症状が続いているか)
受診を考えるライン
次のいずれかに当てはまる場合は、市販薬より先に医療機関への相談が適切です。
- 塗り薬を5〜6日使っても改善しない・悪化する
- 全身にかゆみがある(腎機能低下などの基礎疾患の可能性)
- 皮膚に水ぶくれ・滲出液・発熱を伴う症状がある
- かゆみが繰り返す・長引いている
高齢者の皮膚のかゆみは、市販薬で様子を見続けるより、早めに皮膚科や内科に相談した方がよいケースもあります。
ドラッグストアでよく聞かれる相談
相談:「母の背中がかゆくて、塗り薬と飲み薬どちらを買えばいいか」
迷い:ステロイドは怖いイメージがある。でも飲み薬は眠くなりそうで心配
結論:局所のかゆみ・湿疹であれば、まず外用ステロイドが候補です。用法・用量を守って5〜6日程度を目安に使い、改善しない場合は中止して受診を検討してください。飲み薬は持病によってはリスクがあるため、親の状態を薬剤師に伝えて相談するとよい
関連記事
- 高齢者に市販のかゆみ止めは使っていい?塗り薬と飲み薬の違い・注意点を薬剤師が解説
- 前立腺肥大・緑内障がある人に市販のかゆみ止めは使っていい?抗ヒスタミン成分の注意点を薬剤師が解説
- 【成分辞書】抗コリン作用とは|排尿・緑内障・認知機能への影響を薬剤師が解説
- 親の花粉症薬で眠気が心配なとき|成分の選び方を薬剤師が解説
この記事の根拠
1. PMDA 一般用医薬品 添付文書 第一世代抗ヒスタミン成分を含む一般用医薬品の添付文書には、前立腺肥大・緑内障・排尿困難のある方を相談対象とする記載があります。外用ステロイドを含む一般用医薬品(StrongクラスOTC)の添付文書には、「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師または登録販売者に相談すること」および長期連続使用の注意が記載されています。
2. 厚生労働省 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(令和6年3月) 既承認のStrongクラスのOTCステロイド剤における使用上の注意として、「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師または登録販売者に相談する」と記載されていることが確認されています。
参照:厚生労働省 第27回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議 議事次第(令和6年3月12日)
3. American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® 第一世代抗ヒスタミン薬は高齢者で避けるべき薬として収載されており、強い抗コリン作用による転倒・排尿困難・混乱などのリスクが示されています。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

