この記事を読んでほしい人 緑内障の治療を受けている親のために、ドラッグストアで花粉症薬を選ぼうとしている方
冒頭3行結論
✅ 買うなら 鼻症状は点鼻薬を優先する。点眼薬は緑内障の種類によって選び方が変わるため、必ず薬剤師に確認する
❌ 避ける成分
外箱に「緑内障の方」の記載がある場合は、購入前に薬剤師へ相談してください。
抗コリン作用が強い抗ヒスタミン(眼圧に影響)
- d-クロルフェニラミン(眼圧が上がる恐れがある)
- ジフェンヒドラミン(眼圧上昇につながる恐れがある)
- クレマスチン(眼圧に影響する恐れがある)
充血除去成分(眼圧に影響)
- ナファゾリン(眼圧を上げる恐れがある)
- テトラヒドロゾリン(眼圧に影響する恐れがある)
🧑⚕️ 相談
- 緑内障の種類が分からない(開放隅角か閉塞隅角か)
- 点眼薬を選びたい
- 服用中の緑内障の薬の名前が分からない
現場から|ドラッグストアでよく聞かれる相談
相談: 「母が緑内障の治療をしているんですが、花粉症もひどくて。目がかゆいので目薬を買ってあげたいんですけど、緑内障に使えるものがあるか分からなくて」
迷い: 花粉症の目薬なら目に直接使うから安全だと思っていた。緑内障の種類までは分からない。
結論: 緑内障の種類が分からない場合は、第一世代抗ヒスタミンを含む内服薬は避け、鼻症状は点鼻薬を優先します。内服が必要なら、第二世代を前提に薬剤師へ相談します。点眼薬は充血除去成分が入っていないものを確認し、その場で判断が難しい場合は次回の眼科受診時に「市販の花粉症薬・点眼薬を使ってよいか」を確認してもらうよう伝えた。
親が緑内障のとき、花粉症薬で迷う理由
緑内障は眼圧の上昇などにより視神経が傷つく疾患で、治療中の方は眼圧のコントロールが重要です。花粉症の市販薬の中には、眼圧を上げる恐れがある成分が含まれているものがあります。
特に注意が必要なのは「点眼薬なら目に直接使うから大丈夫」という思い込みです。充血除去成分が入った花粉症用点眼薬は、眼圧に影響する恐れがあります。内服薬も同様です。
さらに緑内障には開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障という種類があり、注意すべき成分が異なります。家族として困るのは「どちらの種類か分からないまま選んでしまう」という点です。
この記事では、棚前で使える判断基準と「緑内障の種類が分からない場合の対応」をお伝えします。
まず確認する3点
薬を選ぶ前に、次の3点を確認してください。
- 緑内障の種類:開放隅角か閉塞隅角か(診察券・お薬手帳に記載がある場合も)
- 今出ている症状:目のかゆみだけか、鼻水・鼻づまりもあるか
- 服用中の薬:緑内障の点眼薬・内服薬の名前を薬袋・お薬手帳で確認する
緑内障の種類が分からない場合は、薬剤師に相談するのが最も安全です。
外箱で確認する場所は2つだけ

棚前で成分を調べるとき、外箱のどこを見ればいいか迷う方が多いです。見る場所は2つだけです。
- 「してはいけないこと」欄:「緑内障の方」と書かれている製品は避ける
- 「相談すること」欄:「緑内障の方」と書かれている場合は薬剤師に確認する
成分名を調べたい場合は「有効成分」欄を確認します。この欄に後述の成分名が入っていないかチェックしてください。
注意文言が出やすい成分と理由(一言解説)
抗コリン作用のある抗ヒスタミン成分(内服薬)
花粉症内服薬に含まれる第一世代抗ヒスタミン薬は抗コリン作用が強く、眼圧を上げる恐れがあります。特に閉塞隅角緑内障の方には注意が必要です。
- d-クロルフェニラミン(眼圧が上がる恐れがある)
- ジフェンヒドラミン(眼圧上昇につながる恐れがある)
- クレマスチン(眼圧に影響する恐れがある)
外箱の「してはいけないこと」または「相談すること」に緑内障の記載がある成分です。
薬剤師メモ: 「緑内障って内服薬も関係あるんですか?」と驚かれることがよくあります。目の病気だから目薬だけ気をつければいいと思っている方が多い印象です。内服薬の抗コリン作用は全身に影響するため、眼圧にも関わってきます。なお、意外に思われるかもしれませんが、眼圧の数値をしっかり覚えている方も現場では結構いらっしゃいます。「前回15でした」などと教えてくれると、薬剤師側もより正確に判断しやすくなります。
充血除去成分(点眼薬)
市販の花粉症用点眼薬の中には、充血を取る目的でナファゾリン・テトラヒドロゾリンなどの血管収縮成分が含まれているものがあります。これらは眼圧を上げる恐れがあり、緑内障の方には注意が必要です。
「アレルギー専用」と書かれた点眼薬の中でも、充血除去成分が入っているものと入っていないものがあります。特に閉塞隅角緑内障(または疑い)の方は注意が必要です。外箱の有効成分欄を確認してください。
「漢方だから安全」は確認が必要です
葛根湯・麻黄湯・小青竜湯などマオウ(麻黄)を含む漢方薬にも、「緑内障の方は相談すること」という記載があります。マオウに含まれるエフェドリン類には交感神経を刺激する作用があり、眼圧に影響する恐れがあるとされています。購入前に薬剤師へ一声かけてください。
緑内障の種類によって選び方が変わる
緑内障には大きく2種類あり、注意の程度が異なります。
開放隅角緑内障の場合
緑内障の中で最も多いタイプです。房水の出口(隅角)は開いていますが、排出がうまくいかず眼圧が上がります。抗コリン作用のある成分への注意は必要ですが、閉塞隅角緑内障ほど急激な眼圧上昇は起こりにくいとされています。ただし必ず薬剤師に確認してから選ぶことをおすすめします。
閉塞隅角緑内障の場合
房水の出口が狭く、抗コリン作用のある成分で急激に眼圧が上昇する恐れがあります。市販の内服花粉症薬の使用は特に慎重に考える必要があります。かかりつけの眼科または薬剤師への相談を先にしてください。
種類が分からない場合(多くの方がここに該当します)
現場の経験から言うと、緑内障の種類(開放隅角か閉塞隅角か)まで把握している方は多くありません。「緑内障と言われている」「目薬をもらっている」という情報だけで来店されることがほとんどです。
そのような場合、薬剤師として次の4点を確認しています。
- いつから緑内障の治療をしているか
- 目薬をどれくらいの期間・頻度で使っているか
- 眼圧は安定していると言われているか(数値を覚えている方はその数値も参考にします)
- 視野の変化(見えにくい部分が広がっているなど)はないか
眼圧がコントロールできていて、視野に大きな変化がない状態であれば、充血除去成分を含まないアレルギー専用点眼薬や第二世代抗ヒスタミン薬の内服薬であれば、短期間の使用なら比較的選びやすい製品があります。
ただし、眼圧が不安定・視野狭窄が進んでいる・治療を始めたばかりという場合は、先に眼科に確認してもらう方が安全です。その場では難しい場合も多いので、次回の眼科受診時に「花粉症薬を使ってよいか」を確認してもらうよう伝えるのが現実的な対応です。
買うなら何を選ぶか(単剤の落としどころ)
目のかゆみの点眼薬は「充血除去なし」を選ぶ
花粉症の目のかゆみにはアレルギー専用の点眼薬が適しています。ただし緑内障の方は、充血除去成分(ナファゾリン等)が入っていないタイプを選ぶことが重要です。
外箱に「充血除去」「白目をきれいに」などの記載がある製品は避け、「アレルギー専用」「かゆみをおさえる」と書かれた製品の有効成分欄を確認してください。
ただし、緑内障治療中の点眼薬との併用については、かかりつけの眼科または薬剤師に確認することをおすすめします。
鼻水・鼻づまりは点鼻薬を優先
鼻症状にはステロイド配合の点鼻薬または抗ヒスタミン点鼻薬が選択肢になります。局所作用が中心で、内服薬より全身への影響が小さい傾向があります。
内服薬が必要なときの選び方
どうしても内服薬が必要な場合は、第二世代抗ヒスタミン薬(ロラタジン、フェキソフェナジン等を含む製品)を選ぶのが基本です。抗コリン作用が比較的少なく、眼圧への影響が小さい傾向があります。
ただし閉塞隅角緑内障の方は、内服薬の使用前に必ず眼科または薬剤師に相談してください。
薬剤師に伝える3点セット

緑内障の場合、「種類が分からない」という方が特に多いです。薬の名前と一緒に、お薬手帳や診察券を持参すると緑内障の種類を確認しやすくなります。
1. 薬袋(くすりぶくろ)またはお薬手帳
緑内障の治療薬の名前が分かれば、薬剤師が種類を確認できます。そのまま持参するか、写真を撮っておくだけで十分です。
2. 診察券
眼科名と受診科が分かると、緑内障の種類を確認する手がかりになります。
3. スマホで薬の写真
点眼薬のボトルや外箱の写真でも確認できます。
よくある質問
Q. 緑内障の種類が分からない場合、何も買えないのか?
そんなことはありません。「いつから治療しているか」「眼圧は安定しているか」「視野の変化はないか」を薬剤師に伝えてください。コントロールできている状態であれば、充血除去成分を含まないアレルギー専用点眼薬や第二世代抗ヒスタミン薬であれば短期間の使用なら比較的選びやすい製品があります。次回の眼科受診時に改めて確認してもらうのも一つの方法です。
Q. 緑内障治療中の点眼薬と花粉症の点眼薬を同時に使えるか?
併用自体が問題になるケースは少ないですが、点眼の順番や間隔によっては治療薬の効果に影響する場合があります。かかりつけの眼科に確認するのが最も確実です。
Q. 「緑内障の疑い」と言われた場合も同じように注意が必要か?
「疑い」の段階でも、念のため抗コリン作用のある成分や充血除去成分は避けておく方が安全です。心配な場合は眼科に確認してください。
受診・相談の目安
花粉症薬を使って気になる症状が出た場合
- 目の痛み・頭痛・吐き気が同時に出た(急性緑内障発作の可能性があります。すぐに眼科を受診してください)
- 視野がかすむ・見え方が変わった
- 強い眼圧感・目の充血が悪化した
症状が改善しない場合
市販薬を1〜2週間使っても花粉症の症状が改善しない場合は、医療機関での処方薬を検討してください。緑内障治療中の方には、処方薬の方が選択肢が広い場合があります。
本人が購入する場合も同じ成分に注意
緑内障の治療を受けているご本人が一人でドラッグストアに来た場合も、確認する成分は同じです。
外箱の「してはいけないこと」「相談すること」の欄に「緑内障の方」と記載がある製品は、購入前に薬剤師・登録販売者に声をかけてください。
まとめ:棚前で使える判断フロー
症状を確認する
├── 目のかゆみだけ → 充血除去なしのアレルギー専用点眼薬
│ (緑内障の種類を薬剤師に確認)
├── 鼻水・鼻づまりだけ → 抗アレルギー点鼻薬
└── 両方ある → 点眼(充血除去なし)+点鼻を組み合わせる
内服薬が必要な場合
└── 外箱「有効成分」欄で確認
├── d-クロルフェニラミン含む → 選ばない
├── ジフェンヒドラミン含む → 選ばない
├── 充血除去成分含む点眼 → 選ばない
└── 第二世代抗ヒスタミン → 薬剤師に確認して選ぶ
迷ったら
└── お薬手帳・診察券・薬の写真を持って薬剤師に相談
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この記事の根拠
1. PMDA 一般用医薬品 添付文書(ジフェンヒドラミン配合製品) ジフェンヒドラミンを含む市販薬の添付文書には「相談すること」の欄に緑内障の方への注意が記載されています。本記事の「避ける成分」はこの記載に基づいています。 参照:PMDA 添付文書(ジフェンヒドラミン配合 OTC 製品)
2. 厚生労働省「かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意」 抗コリン作用を持つ成分を含む製剤には「緑内障」を「してはいけないこと」または「相談すること」に記載する旨が定められています。外箱の注意文言はこの通知に基づいています。 参照:厚生労働省 薬食安発・薬食審査発(平成27年4月)
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

