高齢者のめまいに市販薬は使っていい?原因の見分け方と受診が必要なサインを薬剤師が解説

70代の高齢者がめまいで頭を押さえてソファに座っており50代の家族が転倒しないよう寄り添って支えている全身のイラスト 持病がある方の市販薬選び

この記事を読んでほしい人

高齢の家族がめまいを訴えていて、市販薬を選ぶべきか受診すべきか迷っている方、または高齢の方ご自身がめまいの対処法を知りたい方


冒頭3行結論

まず確認したいこと めまいでは、市販薬を選ぶ前に危険なサインがないか確認することが大切です。脱水・血圧変動・薬の影響など、原因を確認してから対処してください。

すぐ救急が必要なサイン

  • 突然の激しいめまい・今まで経験したことがないめまい
  • ろれつが回らない・言葉が出ない
  • 片側の手足のしびれ・脱力
  • 顔の片側が下がる
  • 激しい頭痛を伴う

🧑‍⚕️ 受診を検討したいケース 高齢者では脱水・血圧変動・薬の影響が関係することがあります。初めてのめまいや繰り返すめまいは、市販薬で様子を見ず受診を検討してください。


めまいの主な種類と原因

めまいは大きく3種類に分けられます。原因によって対処法が異なります。

回転性めまい

周囲や自分がぐるぐると回るように感じるめまいです。内耳の異常が原因になることが多く、代表的なものに次があります。

  • 良性発作性頭位めまい症(BPPV):寝返りや起き上がりなど頭の位置が変わったときに起きる。耳の中の耳石が関係するとされており、高齢者にも多くみられます
  • 前庭神経炎:突然の強い回転性めまいで、数日〜数週間続く。ウイルス感染が関与するとされる
  • メニエール病:めまい・難聴・耳鳴りが繰り返す

浮動性めまい

ふわふわ・ふらふらとした感覚のめまいです。脳・循環器・薬剤性など、より広い原因が関係します。脳梗塞・脳腫瘍・血圧変動・貧血・薬の副作用などが原因になることがあります。

立ちくらみ

急に立ち上がったときに目の前が暗くなる・ふらつく症状です。起立性低血圧(血圧調節の問題)が原因になることが多く、高齢者では降圧薬・利尿薬などの薬剤性が関係することがあります。


すぐ救急が必要な「危険なめまい」のサイン

次のいずれかがある場合は、市販薬で様子を見ず、すぐに救急(119番)を検討してください。

  • 突然の激しいめまい・今まで経験したことがないめまい
  • ろれつが回らない・言葉が出ない・言葉が理解できない
  • 片側の手足のしびれ・脱力・顔の片側が下がる
  • 激しい頭痛を伴う
  • 意識がぼんやりする・視野が狭くなる・物が二重に見える
  • 歩けない・まっすぐ立てない

これらは脳卒中・脳梗塞の可能性があるサインです。「めまいだけかな」と思っても、上記のサインが一つでもあれば救急を呼ぶことが重要です。


台風・気圧変動とめまいの関係

台風前後や天候の変化でめまいを感じる方もいます。ただし高齢者のめまいでは、気圧変動だけでなく脱水・血圧変動・薬の影響・脳卒中なども確認が必要です。「気圧のせいだろう」と決めつけず、危険なサインがないかを先に確認してください。


市販薬を使う前に確認したいこと

市販薬を考える場合でも、初めての強いめまい・脳卒中を疑うサイン・薬剤性が疑われる場合は、自己判断で使わず受診や相談を優先してください。

市販薬(抗めまい薬・乗り物酔い薬に含まれる抗ヒスタミン薬など)が候補になりやすいのは、次のような限られた場面です。

  • 繰り返す良性のめまいで、かかりつけ医にすでに診断を受けている
  • 乗り物酔いに近い症状

ただし高齢者では次の点に注意が必要です。

市販のめまい薬・乗り物酔い薬に含まれる抗ヒスタミン成分は、高齢者で次の問題につながることがあります。

  • 眠気・ふらつき→転倒・骨折リスク
  • 口の渇き・排尿困難(前立腺肥大がある方は特に注意)
  • 緑内障・前立腺肥大などがある方では、使用前に確認が必要
  • 眠気・混乱など認知機能への影響

自己判断で市販薬を使わず、使用前に薬剤師に相談してください。


高齢者で薬剤性めまい・立ちくらみに注意が必要な薬

次の薬を服用している方は、めまいや立ちくらみが薬の影響で起きている可能性があります。

  • 降圧薬(Ca拮抗薬・ACE阻害薬・ARBなど):血圧を下げる作用が強く出て起立性低血圧になることがある
  • 利尿薬:脱水→血圧低下→立ちくらみにつながることがある
  • 睡眠薬・抗不安薬:ふらつき・転倒リスクが上がる
  • 抗ヒスタミン薬(花粉症薬・かゆみ止めなど):眠気・ふらつきが出ることがある

薬剤性が疑われる場合でも、自己判断で薬を中止しないことが重要です。血圧や心疾患の治療薬を急にやめると、かえって危険な場合があります。かかりつけ医に相談してください。


めまいがあるときにまず行いたいこと

めまいがあるときは、無理に歩かず安全な場所に座るか横になってください。転倒を防ぐため、階段・浴室・屋外での移動は避け、症状が落ち着くまで一人で動かないことが大切です。


受診を考えるライン

  • 突然の激しいめまい(すぐ救急)
  • ろれつが回らない・片側の麻痺・顔の下がり(すぐ救急)
  • 初めて経験するめまい
  • めまいが繰り返す
  • 立ちくらみが続く・悪化している
  • 服用中の薬が変わった後からめまいが始まった
  • 脱水・下痢・発熱後のめまい

ドラッグストアでよく聞かれる相談

50代の家族の背後から白衣の薬剤師が高齢の親のめまい症状と服薬内容を聞きながら市販薬で対応できるか受診が必要かを判断している様子のイラスト

相談:「70代の母が台風前からめまいがある。市販のめまい薬を買っていっていいか」

迷い:台風のせいかと思うが、市販薬で対応していいか分からない

結論:まずろれつ・片側の麻痺・激しい頭痛などの脳卒中サインがないかを確認する。これらがなければ脱水・血圧変動・服薬中の薬の影響も確認する。市販のめまい薬は高齢者では眠気・ふらつき・転倒リスクがあるため、使用前に薬剤師に相談してから選ぶことが適切。初めてのめまいや繰り返すめまいは受診を検討する


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この記事の根拠

1. 日本めまい平衡医学会 良性発作性頭位めまい症(BPPV)・前庭神経炎・メニエール病などのめまい疾患について、診療ガイドラインを公開しています。めまいの原因は多岐にわたり、種類によって対処法が異なります。

参照:日本めまい平衡医学会

2. 脳卒中啓発資料(FAST) 脳卒中の症状として、顔の麻痺(Face)・腕の脱力(Arm)・言語障害(Speech)・発症時刻の確認(Time)が重要なサインとされています。これらのサインがある場合はすぐに救急を要請することが重要です。

参照:日本脳卒中協会 脳卒中啓発資料

3. PMDA 一般用医薬品 添付文書 抗ヒスタミン成分を含む一般用医薬品では、製品ごとの添付文書で眠気・服用後の運転回避・持病や服薬中の薬に関する相談事項などが記載されています。本記事では、高齢者が自己判断でめまい薬・乗り物酔い薬を選ばないよう説明する根拠として参照しています。

参照:PMDA 添付文書検索(一般用医薬品)


この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

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