この記事を読んでほしい人 ワルファリンやDOAC(血液をサラサラにする薬)を飲んでいて、頭痛に市販の痛み止めを使いたいと考えている方
冒頭3行結論
✅ 買うなら 市販の痛み止めを使う前に必ず薬剤師に相談する。選ぶならアセトアミノフェン単剤が基本
❌ 避ける成分
外箱の「してはいけないこと」または「相談すること」に**血液凝固阻止剤(抗凝固薬)**の記載がある製品は、購入前に必ず薬剤師へ相談してください。
出血リスクを高める恐れがある成分
- イブプロフェン(抗凝固薬との併用で出血リスクが高まる恐れがある)
- ロキソプロフェン(同上)
- アスピリン(抗血小板作用があり、出血リスクが特に高まる恐れがある)
- ナプロキセン(出血リスクが高まる恐れがある)
🚨 すぐ受診
- 頭痛が突然始まった・いつもと違う強さの頭痛
- 頭痛と同時にしびれ・言語障害・視野異常がある
- 抗凝固薬を飲んでいて体のどこかから出血がある
現場から|ドラッグストアでよく聞かれる相談
相談: 「頭が痛いんですけど、何がいいですか?」と来店された方に詳しく聞くと、「あ、血液サラサラの薬を飲んでいます」とのこと。
迷い: 市販の頭痛薬が血液をサラサラにする薬に影響するとは思っていなかった。「頭痛薬なら何でも同じ」という認識だった。
結論: NSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェン等)は抗凝固薬との併用で出血リスクが高まる恐れがある。飲んでいる薬の種類(ワルファリンかDOACか)を確認した上で、アセトアミノフェン単剤を案内した。
抗凝固薬を飲んでいる人が痛み止めで注意すべき理由
抗凝固薬(ワルファリン・DOAC)は血液が固まりにくくなるよう作用する薬です。この状態で市販の痛み止めを加えると、出血が止まりにくくなる恐れがあります。
特に注意が必要なのは**NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)**と呼ばれる成分です。イブプロフェン・ロキソプロフェン・アスピリン等が含まれます。NSAIDsは胃の粘膜を傷つけやすく、消化管出血のリスクを高める恐れがあります。アスピリンは抗血小板作用も持ち、抗凝固薬との組み合わせで出血リスクが特に高まる恐れがあります。
市販の頭痛薬・解熱鎮痛薬の多くにはNSAIDsが含まれており、「市販薬だから大丈夫」という認識がリスクにつながることがあります。
ワルファリンとDOACで注意の程度が変わる
ワルファリン:NSAIDsとの相互作用でワルファリンの効果が強まり(INRが上がり)、出血リスクが高まる恐れがあります。定期的なINR測定でコントロール状態が把握しやすい一方、相互作用の影響が出やすい薬です。
DOAC(リクシアナ・イグザレルト・エリキュース・プラザキサ等):ワルファリンのようなINR管理は不要ですが、NSAIDsとの併用で消化管出血のリスクが高まる恐れがあります。「管理が楽になった」という認識から、服用中であることを意識しにくくなるケースもあります。
薬剤師メモ: 「血液サラサラの薬を飲んでいる」と最初から言ってくれる方は多くありません。頭痛薬を選んでいる途中で聞いてみると、DOACやワルファリンが出てくることがよくあります。最近はDOACを飲んでいる方が増えていますが、費用面でワルファリンを継続している方もいます。「納豆が食べたいからDOACに変えた」という方もいて、食事制限が薬選びの理由になっているケースもあります。いずれにしても、抗凝固薬を飲んでいる場合は市販の痛み止めを選ぶ前に必ず確認が必要です。
外箱で確認する場所は2つだけ

- 「してはいけないこと」欄:「血液凝固阻止剤(抗凝固薬)を服用している方」の記載がある製品は避ける
- 「相談すること」欄:「抗凝固薬を服用中の方」の記載がある場合は薬剤師に確認する
成分名を確認したい場合は「有効成分」欄を見てください。イブプロフェン・ロキソプロフェン・アスピリン(アセチルサリチル酸)が入っていないかチェックしてください。
避けるべき成分と理由(一言解説)
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):出血リスクが高まる恐れがある
市販の頭痛薬・解熱鎮痛薬に最もよく使われる成分群です。消化管粘膜への影響と抗凝固薬との相互作用から、出血リスクが高まる恐れがあります。
- イブプロフェン:市販の頭痛薬・生理痛薬に広く使われる。抗凝固薬との併用で出血リスクが高まる恐れがある
- ロキソプロフェン:市販の鎮痛薬に使われる。同上
- アスピリン(アセチルサリチル酸):抗血小板作用も持ち、出血リスクが特に高まる恐れがある。低用量アスピリンを別途飲んでいる場合は重複にも注意
- ナプロキセン:市販薬に含まれることがある。出血リスクが高まる恐れがある
買うなら何を選ぶか
アセトアミノフェン単剤を選ぶ
抗凝固薬を飲んでいる場合、市販の痛み止めで選びやすい成分はアセトアミノフェンです。NSAIDsのような消化管への影響や抗血小板作用がなく、抗凝固薬との相互作用が少ない傾向があります。
ただし、アセトアミノフェンもワルファリンとの相互作用がまったくないわけではありません。用法用量を守って使用し、長期・大量使用は避けてください。使用前に薬剤師に確認することをおすすめします。
使用前に必ず薬剤師に相談する
アセトアミノフェンであっても、飲んでいる抗凝固薬の種類・用量・コントロール状態によって対応が変わることがあります。市販薬を選ぶ前に必ずお薬手帳を持参して薬剤師に確認してください。
薬剤師に伝える3点セット

1. お薬手帳
飲んでいる抗凝固薬の名前・用量が確認できます。ワルファリンかDOACかによって対応が変わるため、必ず持参してください。
2. 直近のINR値(ワルファリンを飲んでいる場合)
コントロールが安定しているかどうかが分かると、市販薬使用の判断がしやすくなります。
3. 頭痛の状態
いつから・どんな頭痛か・いつもと違う点はないか。特に「突然始まった」「今まで経験したことがない強さ」の場合はすぐに受診が必要です。
よくある質問
Q. アセトアミノフェンなら抗凝固薬と一緒に使っても安全か?
NSAIDsに比べて影響が少ない傾向がありますが、「安全」とは言い切れません。特にワルファリンとの相互作用は報告されています。用法用量を守り、使用前に薬剤師に確認してください。
Q. 低用量アスピリンを処方されているが、市販の頭痛薬も飲んでいいか?
低用量アスピリン(抗血小板薬として処方)を飲んでいる場合、市販の鎮痛薬を追加すると成分が重複したり相互作用が出る恐れがあります。必ず薬剤師またはかかりつけ医に確認してください。
Q. いつもと違う頭痛がする場合はどうする?
抗凝固薬を飲んでいる方で「いつもと違う頭痛」「突然始まった強い頭痛」は脳出血の可能性があります。すぐに救急を受診してください。市販薬で様子を見る状況ではありません。
受診・相談の目安
すぐに受診(救急)
- 突然始まった激しい頭痛(今まで経験したことがない強さ)
- 頭痛と同時にしびれ・言語障害・視野異常・意識障害
- 体のどこかから出血がある(鼻血が止まらない・血尿・血便等)
かかりつけ医に相談
- 市販薬を使いたいが、どれが安全か分からない
- 頭痛が続いていて、市販薬で対応してよいか判断できない
薬剤師に相談
- アセトアミノフェンを使ってよいか確認したい
- 飲んでいる抗凝固薬と市販薬の飲み合わせを確認したい
まとめ:棚前で使える判断フロー
頭痛があって市販の痛み止めを選ぼうとしている
↓
抗凝固薬(ワルファリン・DOAC)を飲んでいる
↓
お薬手帳を持って薬剤師に相談する(必須)
↓
薬剤師と一緒に確認する
├── NSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェン・アスピリン)含む → 選ばない
└── アセトアミノフェン単剤 → 用法用量・飲み合わせを確認して選ぶ
いつもと違う頭痛・突然の激しい頭痛
└── 市販薬で様子を見ない → すぐに救急を受診する
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この記事の根拠
1. PMDA 一般用医薬品 添付文書(イブプロフェン配合製品) イブプロフェンを含む市販薬の添付文書には、「相談すること」の欄に医師の治療を受けている人や心臓病などの診断を受けた人への注意が記載されています。また、副作用欄には鼻血・歯ぐきの出血・出血が止まりにくいなど出血関連の症状が記載されています。本記事の成分に関する説明はこの記載も踏まえています。
参照:PMDA 添付文書(イブプロフェン配合 OTC 製品)
2. 厚生労働省「かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意の一部改正について」 同通知の別添には解熱鎮痛薬の使用上の注意が収載されており、医師の治療を受けている人や血液の病気を持つ方への注意に関する記載の枠組みが示されています。外箱や添付文書の注意文言はこの通知に基づいています。
参照:厚生労働省 薬食安発・薬食審査発(平成27年4月)― 解熱鎮痛薬セクション
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

