この記事を読んでほしい人 喘息の治療中または既往がある方で、市販の痛み止めを選びたいと考えている方
冒頭3行結論
✅ 買うなら 喘息の既往がある方は市販の痛み止めを使う前に必ず薬剤師に相談する。選ぶならアセトアミノフェン単剤が基本。ただしアスピリン喘息の既往がある方はアセトアミノフェンの用量にも注意が必要
❌ 避ける成分
外箱の「してはいけないこと」に「本剤または他の解熱鎮痛薬・かぜ薬を服用して喘息を起こしたことがある人」などの記載がある製品は避けてください。「相談すること」に記載がある製品は購入前に必ず薬剤師へ相談してください。
喘息を悪化させる恐れがある成分(NSAIDs)
- イブプロフェン(喘息発作を誘発する恐れがある)
- ロキソプロフェン(同上)
- アスピリン(アスピリン喘息の原因成分。特に注意が必要)
- ナプロキセン(喘息を悪化させる恐れがある)
🚨 すぐ受診
- 痛み止めを飲んだ後に息苦しさ・喘鳴が出た
- 喘息発作が起きた
- 呼吸困難が急に強くなった
現場から|ドラッグストアでよく聞かれる相談
相談: 「肩こりがひどくて…」と来店した方に詳しく聞くと、「喘息の吸入薬を使っています」とのこと。別の方では、処方薬を確認すると喘息の治療薬が入っていたため「喘息はお持ちですか?」と確認するとそうだと分かった。
迷い: 痛み止めが喘息に影響するとは思っていなかった。吸入薬を使っていることと、市販の頭痛薬の関係を意識していなかった。
結論: 選んでいたイブプロフェン配合製品は喘息発作を誘発する恐れがあるため避けるよう説明。「アスピリン喘息はありますか?」も確認した上で、アセトアミノフェン単剤を案内した。
喘息がある人が痛み止めで注意すべき理由
市販の頭痛薬・解熱鎮痛薬に多く使われているNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、一部の喘息の方で喘息発作を誘発する恐れがあります。これはアレルギー反応ではなく、NSAIDsがプロスタグランジンの産生を抑えることで気道が収縮しやすくなる作用によるとされています。
特に注意が必要なのが**アスピリン喘息(解熱鎮痛薬過敏喘息)**です。アスピリンを含む多くのNSAIDsで発作が誘発されやすく、喘息の中でも特に慎重な対応が必要です。
喘息の種類によって注意の程度が変わる
- アレルギー性喘息など一般的な喘息:NSAIDsで発作が誘発される恐れがあります。アセトアミノフェン単剤が選びやすい選択肢です
- アスピリン喘息(解熱鎮痛薬過敏喘息):NSAIDsは避ける必要があります。アセトアミノフェンも用量によっては影響が出る恐れがあるため、使用前に処方元またはかかりつけ医への確認が必要です
薬剤師メモ: 「喘息がある」とはじめから言ってくれる方と、処方薬の吸入薬から確認するパターンの両方があります。確認するのは喘息の既往だけでなく、「アスピリン喘息はありますか?」も必ず聞くようにしています。アスピリン喘息がある場合は、アセトアミノフェンでも添付文書上、1回あたりの最大用量は300mg以下とされているため、処方元に確認してから使ってもらうよう勧めています。
外箱で確認する場所は2つだけ

- 「してはいけないこと」欄:「本剤または他の解熱鎮痛薬・かぜ薬を服用して喘息を起こしたことがある人」の記載がある製品は避ける
- 「相談すること」欄:「喘息の方」の記載がある場合は薬剤師に確認する
成分名を確認したい場合は「有効成分」欄を見てください。イブプロフェン・ロキソプロフェン・アスピリン(アセチルサリチル酸)が入っていないかチェックしてください。
避けるべき成分と理由(一言解説)
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬):喘息発作を誘発する恐れがある
市販の頭痛薬・生理痛薬・解熱鎮痛薬に最もよく使われる成分群です。喘息の方では気道収縮を引き起こし、発作を誘発する恐れがあります。
- アスピリン(アセチルサリチル酸):アスピリン喘息の原因成分として代表的。特に注意が必要
- イブプロフェン:市販の頭痛薬・生理痛薬に広く使われる。喘息発作を誘発する恐れがある
- ロキソプロフェン:同様に広く使われる。喘息の方は外箱の注意文言を確認する
- ナプロキセン:市販薬に含まれることがある。喘息を悪化させる恐れがある
買うなら何を選ぶか
アセトアミノフェン単剤を選ぶ(喘息の既往がある方)
喘息がある方にはアセトアミノフェン単剤が比較的選びやすい成分です。NSAIDsのような気道収縮作用がなく、喘息発作を誘発する恐れが少ない傾向があります。
ただし、アセトアミノフェンもまったく影響がないわけではないため、使用前に薬剤師に確認してください。
アスピリン喘息がある方は使用前に処方元へ確認する
アスピリン喘息(解熱鎮痛薬過敏喘息)がある方は、アセトアミノフェンも用量によっては影響が出る恐れがあるとされています。市販薬を使う前に必ず処方元またはかかりつけ医に確認してから使用してください。自己判断での使用は避けてください。
薬剤師に伝える3点セット

1. 喘息の種類と現在の状態
「アスピリン喘息はありますか?」「今もコントロール中ですか?」の2点が特に重要です。
2. 処方薬の一覧または吸入薬の名前
使用中の喘息治療薬が分かると、コントロール状態の目安になります。
3. 以前に痛み止めで症状が悪化したことがあるか
「解熱鎮痛薬を飲んで息苦しくなったことがある」という経験は、アスピリン喘息を疑う重要な手がかりになります。
よくある質問
Q. アスピリン喘息でもアセトアミノフェンは使えるか?
アセトアミノフェンはNSAIDsより影響が少ない傾向がありますが、用量によっては影響が出る恐れがあるとされています。市販薬として使う場合は処方元またはかかりつけ医に確認してから使用してください。
Q. 喘息の吸入薬を使っていれば市販の痛み止めを飲んでも大丈夫か?
吸入薬でコントロールしていても、NSAIDsで発作が誘発される恐れがあります。吸入薬を使っているかどうかに関わらず、喘息の既往がある方はNSAIDsを避けてください。
Q. 漢方薬の痛み止めなら喘息でも大丈夫か?
漢方薬の中にも生薬成分が喘息に影響する恐れがあるものがあります。「漢方だから安全」という認識は確認が必要です。購入前に薬剤師に相談してください。
受診・相談の目安
すぐに受診(救急含む)
- 痛み止めを飲んだ後に息苦しさ・喘鳴・呼吸困難が出た
- 喘息発作が起きた
かかりつけ医・処方元に相談
- アスピリン喘息があり、市販の痛み止めを使いたい
- 喘息のコントロールが不安定な状態で痛みがある
薬剤師に相談
- アセトアミノフェンを使ってよいか確認したい
- 喘息の既往があり、どの市販薬が選べるか確認したい
まとめ:棚前で使える判断フロー
頭痛・痛みがあって市販の痛み止めを選ぼうとしている
↓
喘息の既往または治療中
↓
NSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェン・アスピリン)含む → 選ばない
↓
アスピリン喘息(解熱鎮痛薬過敏喘息)の既往を確認する
├── ない → アセトアミノフェン単剤を薬剤師に確認して選ぶ
└── ある → 自己判断せず処方元またはかかりつけ医に確認してから使う
痛み止めを飲んで息苦しさ・喘鳴が出た
└── すぐに救急を受診する
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この記事の根拠
1. PMDA 一般用医薬品 添付文書(イブプロフェン配合製品) イブプロフェンを含む市販薬の添付文書には、「してはいけないこと」の欄に「本剤または他の解熱鎮痛薬・かぜ薬を服用して喘息を起こしたことがある人」への注意が記載されています。本記事の「避ける成分」はこの記載に基づいています。
参照:PMDA 添付文書(イブプロフェン配合 OTC 製品)
2. 厚生労働省「かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意の一部改正について」 同通知の別添には解熱鎮痛薬の使用上の注意が収載されており、アスピリン・イブプロフェン含有製剤などに記載すべき副作用項目や注意事項の枠組みが示されています。外箱や添付文書の注意文言はこの通知に基づいています。
参照:厚生労働省 薬食安発・薬食審査発(平成27年4月)― 解熱鎮痛薬セクション
3. 厚生労働省 医薬品・医療機器等安全性情報 No.405(2023年11月) アセトアミノフェンを含有する製剤の使用上の注意改訂に関する情報として、アスピリン喘息またはその既往歴のある患者に対する1回あたりの最大用量はアセトアミノフェンとして300mg以下とする旨が示されています。本記事の「アスピリン喘息がある場合のアセトアミノフェン用量注意」はこの資料に基づいています。
参照:厚生労働省 医薬品・医療機器等安全性情報 No.405
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

