高齢者の不眠に市販薬は使っていい?睡眠改善薬の選び方と受診目安を薬剤師が解説

70代の高齢者が夜中にベッドで眠れずに困っており50代の家族が様子を確認しているイメージのイラスト 持病がある方の市販薬選び

この記事を読んでほしい人

高齢の家族が眠れないと言っていて、市販の睡眠改善薬を選んであげようか迷っている方、または高齢の方ご自身が市販の睡眠改善薬を使おうか迷っている方


冒頭3行結論

選ぶ前に確認したいこと 市販の睡眠改善薬を選ぶ前に、眠れない原因を確認することが大切です。薬の副作用・痛み・頻尿・不安など、原因によって対処法が変わります。

避けたい対応

  • 緑内障・前立腺肥大がある方にジフェンヒドラミン系の睡眠改善薬を自己判断で使う
  • 一時的な不眠以外に、2〜3回使っても改善しないのに使い続ける

🧑‍⚕️ 受診を検討したいケース

  • 眠れない状態が2週間以上続いている
  • 気分の落ち込み・不安が強い
  • 昼間の眠気が強い・いびきがひどい(睡眠時無呼吸の可能性)

市販の睡眠改善薬の主成分とその注意点

ジフェンヒドラミン塩酸塩(従来の市販睡眠改善薬)

ドリエル®・レスタミン®などに含まれる抗ヒスタミン成分です。花粉症薬・かぜ薬・かゆみ止めにも同じ成分が含まれており、「眠気の副作用」を利用した睡眠改善薬です。

高齢者で特に注意が必要な点

  • 抗コリン作用:口が渇く・排尿困難・便秘・目のかすみなどが起きやすくなります
  • 翌日の眠気・ふらつき:翌朝も効果が残り、ふらつきや転倒リスクが上がることがあります
  • 認知機能への影響:眠気・混乱など認知機能に影響することがあります
  • 慣れ(耐性)が生じやすい:使い続けると効きにくくなることがあります

使用前に必ず相談したい方

  • 緑内障と診断されている方(抗コリン作用で眼圧が上がることがある)
  • 前立腺肥大と診断されている方(排尿困難・尿閉のリスクがある)
  • 認知機能の低下が気になる方

ラメルテオン(ロゼレムS®)【2026年7月28日発売予定・要指導医薬品】

アリナミン製薬は、ラメルテオンを有効成分とする要指導医薬品「ロゼレムS」について、2026年5月20日に製造販売承認を取得し、2026年7月28日に発売予定と発表しています。医療機関で長年処方されてきたラメルテオンが市販薬として初めて登場します。

ジフェンヒドラミンとの主な違い

メラトニン受容体に作用して体内時計を整え、自然な入眠を促します。抗コリン作用がないため、ジフェンヒドラミン系で問題になりやすい口渇・排尿困難・便秘などのリスクは異なります。ただし、緑内障・前立腺肥大・転倒リスクがある方でも自己判断で選ばず、購入時に薬剤師へ相談してください。

注意点

  • すぐに眠気で眠らせる薬というより、寝つきのリズムを整える性質の薬です
  • フルボキサミン(抗うつ薬)を服用中の方は使用できない
  • 服用期間は2週間が上限
  • 要指導医薬品のため、購入時に薬剤師への相談が必要。購入前に最新の製品情報を確認してください

眠れない原因を見直す

50代の家族が70代の高齢者のお薬手帳を開いて眠れない原因になっている薬がないか確認している様子のアップイラスト

市販の睡眠改善薬を使う前に、眠れない原因を確認することが重要です。

薬剤性不眠の可能性 降圧薬(βブロッカー)・ステロイド薬・利尿薬・一部の抗うつ薬などが不眠を引き起こすことがあります。服薬内容が変わった後から眠れなくなった場合は、かかりつけ医または薬剤師に相談してください。

生活習慣・環境の見直し

  • 就寝前のスマートフォン・強い光の使用
  • 昼寝が長すぎる・就寝時間のズレ
  • カフェイン・アルコールの影響

受診が必要な可能性がある状態

  • 気分の落ち込み・不安感が強い(うつ・不安障害の可能性)
  • いびきがひどい・昼間に強い眠気がある(睡眠時無呼吸症候群の可能性)
  • 足がむずむずして眠れない(むずむず脚症候群の可能性)

市販薬で対応しない方がよい不眠

次の場合は市販の睡眠改善薬で様子を見ず、受診または薬剤師への相談を優先してください。

  • 2週間以上続く不眠
  • 気分の落ち込み・強い不安を伴う
  • いびきがひどい・昼間の強い眠気がある(睡眠時無呼吸の可能性)
  • 急に眠れなくなった・夜間に混乱が目立つ
  • 痛み・頻尿・息苦しさで眠れない
  • 服薬が変わってから眠れなくなった

薬剤師に伝えたい3点

50代の家族の背後から白衣の薬剤師がお薬手帳を確認しながら緑内障や前立腺肥大がある高齢の親に合った睡眠改善薬を慎重に選んでいる様子のイラスト
  1. 眠れない状態の内容(寝つきが悪い・途中で起きる・早朝に目が覚めるなど)
  2. 服用中の薬・持病(緑内障・前立腺肥大・認知機能の低下・転倒歴など)
  3. いつから続いているか(急に始まったか・2週間以上続くか)

受診を考えるライン

  • 眠れない状態が2週間以上続いている
  • 急に眠れなくなった・夜間に混乱が目立つ
  • 市販薬を2〜3回使っても改善しない・悪化している
  • 気分の落ち込み・強い不安を伴う
  • 昼間の眠気が強い・いびきがひどい
  • ふらつき・転倒が増えた

ドラッグストアでよく聞かれる相談

相談:「80代の父が最近眠れないと言っている。前立腺肥大があるが、睡眠改善薬を買っていっていいか」

迷い:前立腺肥大があるがドリエルなどを使っていいか

結論:前立腺肥大がある方には、ジフェンヒドラミン系の睡眠改善薬は排尿困難・尿閉のリスクから使わない方が安全。ロゼレムS(ラメルテオン)はジフェンヒドラミン系とは作用が異なりますが、要指導医薬品のため、薬剤師に持病・服薬状況を伝えて相談することが必要です。まず眠れない原因(薬の副作用・痛み・頻尿など)も確認することが適切です。


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この記事の根拠

1. Beers Criteria 2023(米国老年医学会) 第一世代抗ヒスタミン薬は高齢者で眠気・混乱・転倒などのリスクが高まるとされており、高齢者への使用に注意が必要とされています。

参照:American Geriatrics Society Beers Criteria 2023

2. PMDA 一般用医薬品 添付文書 ジフェンヒドラミン塩酸塩を含む一般用医薬品では、製品ごとの添付文書で緑内障・前立腺肥大・翌日の眠気・運転回避などに関する相談事項が記載されています。

参照:PMDA 添付文書検索(一般用医薬品)

3. アリナミン製薬 ロゼレムS 製品情報(2026年5月20日承認取得) ラメルテオン(メラトニン受容体作動薬)を有効成分とする要指導医薬品として承認取得。一時的な不眠の寝つきが悪い症状の緩和を効能効果とし、2週間を服用上限としています。購入前に最新情報を確認してください。

参照:アリナミン製薬 プレスリリースPDF


この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

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