この記事を読んでほしい人
高齢の家族の乾燥肌・かゆみに市販の保湿剤を選んであげたい方、または高齢の方ご自身が保湿剤を選ぼうか迷っている方
冒頭3行結論
✅ まず保湿から始める 高齢者の乾燥肌・かゆみには、かゆみ止めより先に保湿剤を試すことが重要です。乾燥が原因のかゆみは、保湿で改善することがあります。
❌ 避けたい対応
- 乾燥が原因なのにかゆみ止め(外用・内服)から使い始める
- 傷・ただれ・ジュクジュクしている部位に保湿剤を重ねる
🧑⚕️ 受診を考えるケース
- ジュクジュクしている・広範囲に赤みが広がっている
- 保湿剤を使っても改善しない・悪化している
- 全身のかゆみが続く(乾燥以外の原因の可能性)
高齢者の乾燥肌が起きやすい理由
加齢とともに皮脂の分泌が低下し、皮膚の水分を保持する機能(バリア機能)が低下します。その結果、皮膚が乾燥しやすくなり、白い粉をふいたような状態(鱗屑)・かゆみ・ひび割れが起きやすくなります。これを「皮脂欠乏症(老人性乾皮症)」と呼ぶことがあります。
高齢者の乾燥肌では、かゆみ止めより先に保湿が基本です。
市販の保湿剤の主な種類
ヘパリン類似物質(ヒルドイド®相当のOTC品など)
乾燥・粉ふき・軽いかゆみがある方に候補になりやすい保湿剤です。皮膚の水分保持を助ける作用があります。
注意点
- 傷・ただれ・出血しやすい部位・ジュクジュクしている部位には使わない
- 出血しやすい病気がある方、血が止まりにくいと言われている方、抗凝固薬を服用中で不安がある方は使用前に薬剤師へ相談してください
ワセリン
皮膚の表面を覆って水分の蒸発を防ぐ保護剤です。刺激成分が少なく、皮膚が敏感な方にも使いやすいとされます。
注意点
- ベタつきやすい。衣類・寝具につきやすい
- 薄く伸ばして使う
- ジュクジュクした傷・膿・強い赤みがある部位は、自己判断で塗らず受診してください
尿素配合クリーム
かかと・すね・ひじなど硬くなった乾燥に使われます。角質を柔らかくする作用があります。
注意点
- 傷・ひび割れ・湿疹がある部位には使わない(しみやすい)
- 顔・粘膜近くには使わない
- 高齢者の皮膚が薄い部位では刺激を感じやすいことがある
セラミド配合製品
皮膚のバリア機能を補う成分です。化粧品・医薬部外品が多く、医薬品ではないものがほとんどです。日常的なスキンケアとして使いやすいです。
かゆみがある場合の対処の順番

高齢者の乾燥によるかゆみには、次の順番で対処することが基本です。
1. まず保湿 入浴後の水分が残っているうちに保湿剤を塗ります。1日1〜2回を習慣にしてください。
2. 改善しなければ外用ステロイドを短期間 保湿を続けても赤み・炎症が改善しない場合は、外用ステロイドを短期間使う選択肢があります。外用ステロイドは炎症を抑えるために使う薬で、適切な強さ・部位・期間を守ることが重要です。数日使っても改善しない、または悪化する場合は、自己判断で続けず受診してください。
3. かゆみ止め内服薬は慎重に 抗ヒスタミン内服薬は高齢者では眠気・ふらつき・排尿困難などが問題になりやすいため、自己判断で使い続けず薬剤師に相談してください。
受診を考えるライン
- ジュクジュクしている・膿が出ている(感染の可能性)
- 赤みが広範囲に広がっている・発熱がある
- 保湿剤を使っても改善しない・悪化している
- 全身のかゆみが続く(腎機能や内科的な原因の可能性)
ドラッグストアでよく聞かれる相談

相談:「80代の母が足のすねがかゆいと言っている。かゆみ止めを買えばいいか」
迷い:かゆみ止めと保湿剤どちらを買えばいいか
結論:高齢者の乾燥肌によるかゆみは、かゆみ止めより先に保湿剤を試すことが基本。傷・ジュクジュクがなければ、ヘパリン類似物質配合の保湿剤が候補になりやすい。改善しない場合や赤みが強い場合は、外用ステロイドの使用や受診について薬剤師・医師に相談する
関連記事
- 糖尿病・腎機能が低い人の乾燥肌ケア|市販の保湿剤の選び方と受診目安を薬剤師が解説
- 親の乾燥肌に市販の保湿剤を選ぶとき|かゆみ止めとの違いと受診が必要なサインを薬剤師が解説
- 高齢者に市販のかゆみ止めは使っていい?塗り薬と飲み薬の違い・注意点を薬剤師が解説
- 【成分辞書】外用ステロイドとは|強さの分類・高齢者への注意点・使い方を薬剤師が解説
この記事の根拠
1. 日本皮膚科学会 皮脂欠乏症診療の手引き2021 高齢者の皮脂欠乏症に対する保湿剤は皮膚乾燥を改善するとされています。保湿剤の使用が乾燥肌・かゆみの基本的な対処として推奨されています。
2. PMDA 一般用医薬品 添付文書 ヘパリン類似物質・尿素・外用ステロイドを含む一般用医薬品では、製品ごとの添付文書で使用部位・期間・持病に関する相談事項が記載されています。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

