親の乗り物酔い止め|緑内障・前立腺肥大がある方の注意点

高齢者の乗り物酔いの原因、基本対策、酔い止め薬の選び方と事前準備をまとめたイラスト 持病がある方の市販薬選び

「久しぶりに親を連れて旅行に行くけれど、車やバスで酔わないか心配」——高齢の親の乗り物酔い対策に市販の酔い止め薬を使わせてよいか迷う方に向けて、選び方と、緑内障・前立腺肥大などの持病がある場合の注意点を薬剤師が解説します。

この記事の結論

車内で乗り物酔いをした高齢女性と、原因・対策・酔い止め薬の注意点をまとめたイラスト

・乗り物酔い止め薬の多くは抗ヒスタミン薬・抗コリン薬を含み、緑内障や前立腺肥大がある方は症状悪化のリスクがあるため注意が必要です
・抗コリン作用は高齢者でせん妄・認知機能の低下や転倒のリスクと関連することが知られています
・持病がある場合は購入前に薬剤師に伝え、必要に応じて主治医に相談してから使用しましょう

乗り物酔い止めの市販薬について

乗り物酔い止め薬は、内耳の三半規管の刺激による自律神経の乱れを抑えることで、めまいや吐き気を軽減します。多くの製品は抗ヒスタミン薬(ジフェンヒドラミンなど)や抗コリン薬(スコポラミンなど)を配合しており、乗り物に乗る30分〜1時間前に服用するのが一般的です。

眠気を抑えた製品や、比較的作用が穏やかとされる成分を使った製品などバリエーションがあるため、体質や持病に応じて選ぶことが大切です。

親に酔い止め薬を使う前に確認したいこと

緑内障がある方

抗ヒスタミン薬・抗コリン薬は眼圧を上昇させる可能性があり、緑内障(特に閉塞隅角緑内障)がある方では症状を悪化させるおそれがあります。開放隅角緑内障では服用できる場合もありますが、自己判断せず、必ず担当医に確認してから使用してください。

前立腺肥大がある方

同様の成分は排尿筋の働きを抑えるため、前立腺肥大がある方では排尿困難や尿閉を引き起こす可能性があります。普段から排尿に時間がかかる、残尿感があるなどの症状がある場合は、服用前に医師・薬剤師に相談しましょう。

高齢者全般の注意

抗コリン作用のある薬は、高齢者においてせん妄や一時的な認知機能の低下、口の渇き、便秘、転倒・骨折のリスクと関連することが知られています。普段から複数の薬を服用している場合、抗コリン作用のある薬が重なっていないか確認することも重要です。

持病がある親への注意

認知症・軽度認知障害がある方

抗コリン作用のある薬は認知機能に影響する可能性があるため、認知症やその疑いがある方への使用は特に慎重に検討する必要があります。使用する場合は少量から、体調の変化をよく観察しましょう。

心疾患がある方

一部の酔い止め成分は動悸を起こすことがあるため、不整脈や心疾患の既往がある方は事前に医師に相談することをおすすめします。

他の薬を服用している方

抗ヒスタミン薬や抗コリン薬を含む風邪薬・アレルギー薬などをすでに服用している場合、作用が重なり副作用が強く出ることがあります。お薬手帳を確認し、重複がないか薬剤師にチェックしてもらいましょう。

薬剤師に伝えたい3つのこと

  • 緑内障・前立腺肥大・認知症などの持病の有無
  • 現在服用している薬(特に抗ヒスタミン薬、抗コリン薬を含むもの)
  • 普段の排尿の様子や、物忘れなど気になる変化の有無

受診・相談を考えるライン

状態 対応の目安
持病がなく、体調も安定している 用法用量を守って使用し、経過を見守る
緑内障・前立腺肥大の診断を受けている 使用前に必ず担当医・薬剤師に確認
服用後に目の痛み、排尿困難が出た ただちに使用を中止し受診
服用後にいつもと違う言動、強い眠気が出た 使用を中止し、必要に応じて受診

よくある質問

Q. 眠くなりにくい酔い止めもありますか?

A. 製品によって眠気の出やすさは異なります。持病がある場合は成分の種類がより重要になるため、眠気の有無だけでなく配合成分を薬剤師と一緒に確認することをおすすめします。

Q. 普段の酔い止めと同じものを長年使っていますが大丈夫ですか?

A. 持病や服用薬が変わっていないか、年に一度程度は薬剤師に確認してもらうと安心です。加齢とともに体の状態は変化します。

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参考文献

  • m3.com「緑内障と抗コリン剤の基礎知識」 https://pharmacist.m3.com/column/special_feature/6233
  • くりもと眼科「緑内障患者さんに使用できないお薬について」 https://kurimoto-ganka.com/2026/02/13/922/
  • 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA) 添付文書情報

この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や薬の飲み合わせについては、必ずかかりつけの医師・薬剤師にご相談ください。

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