この記事を読んでほしい人
腎機能が低いと言われている方、またはワーファリン・DOAC・抗血小板薬など血液をサラサラにする薬を服用中で、市販の頭痛薬を使おうか迷っている方、またはそのご家族
冒頭3行結論
✅ 選ぶ前に確認したいこと 腎機能が低い方・血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、市販の頭痛薬でも種類によって注意が必要です。使用前にお薬手帳を持って薬剤師に相談することが適切です。
❌ 自己判断を避けたい場合
- 腎機能が低い方がNSAIDsを自己判断で選ぶ
- ワーファリン服用中にアセトアミノフェンを自己判断で連用・高用量使用する
- 血液をサラサラにする薬を飲みながらNSAIDsを使う
🧑⚕️ すぐ受診・救急が必要な頭痛のサイン
- 突然の激しい頭痛・今まで経験したことがない頭痛
- 手足のしびれ・脱力・ろれつが回らない
- 発熱・首の硬さ・意識がぼんやりする(重い病気が隠れている可能性)
- 頭を打った後の頭痛
腎機能が低い方でNSAIDsに注意が必要な理由
NSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェン・アスピリンなど)は、腎臓の血流を調節するプロスタグランジンという物質の産生を抑える働きがあります。腎機能が低下している方では、この作用が腎機能にさらに影響することがあります。
また、高齢者ではもともと腎機能が低下していることが多いうえ、利尿薬・降圧薬などの薬と組み合わさることで、腎臓への負担が重なりやすくなります。
腎機能が低いと言われている方や透析中の方は、市販のNSAIDsを自己判断で選ばず、購入前に薬剤師や主治医へ相談してください。頭痛が続く場合やいつもと違う頭痛がある場合は、主治医への相談が適切です。
腎機能が低い方での頭痛薬の選び方
腎機能が低い方では、NSAIDsよりアセトアミノフェン単剤が候補になりやすい場面があります。ただし、腎機能の程度・肝機能・併用薬によって注意点が変わるため、自己判断で長期に使い続けないことが重要です。
ただしアセトアミノフェンも次の点に注意が必要です。
- 肝機能が低下している方では注意が必要
- 他のアセトアミノフェン含有製品(かぜ薬・解熱剤など)との重複を避ける
- ワーファリンを服用している方は、連用・高用量でINRが上昇する可能性があるため使用前に薬剤師か医師へ相談する
腎機能が低い方でもアセトアミノフェンの適切な用量・期間については、個人の状態によって異なります。自己判断で長期に使い続けず、薬剤師や主治医に確認することが重要です。
血液をサラサラにする薬の種類と頭痛薬との関係

「血液をサラサラにする薬」には種類があり、それぞれ頭痛薬との関係が異なります。
ワーファリン(ワルファリン) 血液が固まりにくくする薬(抗凝固薬)です。食事・他の薬との相互作用でINR(効き具合の指標)が変動しやすい特徴があります。
- アセトアミノフェン:連用・高用量でINRが上昇する可能性が報告されています。短期間の使用であっても、使用前に主治医か薬剤師へ相談すると安心です
- NSAIDs:消化管出血のリスクが上がるため避けることが多いです
DOAC(直接経口抗凝固薬) アピキサバン・リバーロキサバン・エドキサバン・ダビガトランなどです。ワーファリンより食事の影響を受けにくいとされますが、NSAIDsとの併用では出血リスクへの注意が必要です。DOACは薬の種類によって腎機能も確認しながら使われるため、腎機能が低い方では特にお薬手帳を見せて相談してください。
抗血小板薬 アスピリン・クロピドグレルなどです。NSAIDsとの併用で出血リスクが上がるため注意が必要です。アスピリン少量を服用中にイブプロフェンを使うと、アスピリンの血液を固まりにくくする働きに影響することがあるとされています。自己判断で併用せず、薬剤師や医師に確認してください。
薬剤師への相談3点セット

- 腎機能の状態(腎機能が低いと言われているか、透析中か)
- 服用中の薬の名前(お薬手帳があれば持参)
- 頭痛の内容(いつから・どんな強さ・いつもと同じか違うか)
受診を考えるライン
- 突然の激しい頭痛・今まで経験したことがない頭痛(すぐ救急)
- 手足のしびれ・脱力・ろれつが回らない(すぐ救急)
- 発熱・首の硬さ・意識がぼんやりする
- 市販薬を使っても改善しない頭痛が数日続く
- 市販薬を繰り返し使う状態が続いている
ドラッグストアでよく聞かれる相談
相談:「父がワーファリンを飲んでいて頭痛がある。市販の頭痛薬を買っていっていいか」
迷い:ワーファリンと頭痛薬の飲み合わせが心配。何なら使えるか
結論:ワーファリン服用中の方は、NSAIDsは出血リスクから避けることが多い。アセトアミノフェン単剤は候補になることがあるが、連用・高用量でINRが上昇する可能性があるため、使用前に薬剤師か主治医に確認してから選ぶのが安全。突然の激しい頭痛・いつもと違う頭痛がある場合は市販薬より先に受診を優先する
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この記事の根拠
1. 日本頭痛学会 頭痛の診療ガイドライン2021 突然の激しい頭痛や神経症状を伴う頭痛は二次性頭痛として早期評価が必要とされています。市販の頭痛薬の繰り返し使用による薬物乱用頭痛のリスクも示されています。
2. PMDA 一般用医薬品 添付文書 アセトアミノフェン単剤やNSAIDs含有の一般用医薬品では、製品ごとの添付文書で腎機能障害・肝機能障害・抗凝固薬服用者などに関する相談事項が記載されています。
3. 厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル「消化性潰瘍」 NSAIDsでは、高齢・消化性潰瘍の既往・抗凝固薬や抗血小板薬の併用などが消化性潰瘍のリスク因子として示されています。
参照:厚生労働省 重篤副作用疾患別対応マニュアル「消化性潰瘍」
4. ワーファリンとアセトアミノフェンの相互作用 ワーファリン添付文書では、アセトアミノフェンが併用注意に記載されています。本記事では、ワーファリン服用中にアセトアミノフェンを自己判断で連用・高用量使用しないよう説明する根拠として参照しています。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

