この記事を読んでほしい人
高齢の家族に日焼け止めを使わせるべきか迷っている方、または高齢の方ご自身が日焼け止めを使う必要があるか迷っている方
冒頭3行結論
✅ 高齢者こそ日焼け止めが必要 長年の紫外線曝露が蓄積した高齢者では、日光角化症・皮膚がんのリスクが上がります。「今さら不要」ではなく、今からでも続けることに意味があります。
❌ 避けたい思い込み
- 「高齢者には日焼け止めは不要」
- 「肌が弱いから日焼け止めは使えない」:低刺激タイプを選ぶことで対応できる場合がある
🧑⚕️ 受診を考えるケース
- 顔・頭部・手の甲に、カサカサした赤みのある斑点や治りにくい皮膚の変化が出てきた
- 治りにくい皮膚の変化が続いている
高齢者に紫外線対策が必要な理由

長年の紫外線曝露が蓄積している
紫外線の皮膚への影響は「今日の日焼け」だけではありません。年々の紫外線曝露が皮膚の細胞のDNAにダメージを与え、それが長年にわたって蓄積することで皮膚がんや日光角化症につながります。
高齢者では紫外線ダメージの蓄積期間が長いため、リスクが上昇します。今から対策を続けることで、これ以上のダメージを防ぐことができます。
日光角化症とは
顔・頭部・手の甲など日光を長年浴びてきた部位に、カサカサした赤みのある斑点として現れる皮膚の前がん病変です。60〜70歳代から多くみられるようになります。
放置すると有棘細胞がんという皮膚がんに進展することがあるため、早期発見・治療が重要です。痛みやかゆみがほとんどなく気づきにくいため、家族が定期的に皮膚の変化をチェックすることが大切です。
SPF・PAとは何か
日焼け止めを選ぶ際に出てくる「SPF」「PA」の意味を整理しておくと選びやすくなります。
SPF(Sun Protection Factor) UV-B(波長が短い紫外線)を防ぐ指標です。UV-Bは日焼け・皮膚がんの原因になります。数値が高い製品は長時間の屋外活動向けで、日常使いでは必要以上に高い数値を選ばないこともあります。
PA(Protection Grade of UVA) UV-A(波長が長い紫外線)を防ぐ指標です。UV-Aは光老化(しわ・しみ)の原因になります。「+」の数が多いほど防御力が高いです。
日常使いの目安 日常使いでは、中等度のSPF・PAの製品が選択肢になりやすいです。高SPF製品は海水浴・長時間の屋外活動向けです。
高齢者向けの日焼け止めの選び方

成分の確認
日焼け止めの紫外線を防ぐ成分には「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」があります。
紫外線散乱剤(酸化亜鉛・酸化チタンなど) 紫外線を散乱して防ぐタイプです。刺激が気になる方では、散乱剤主体の製品が選択肢になることがあります。「紫外線吸収剤不使用」と表示されている製品がこれに当たります。
紫外線吸収剤(メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなど) 紫外線を化学的に吸収するタイプです。白浮きが少なく使いやすい一方で、敏感な肌には合わない場合があることがあります。
そのほかのポイント
- 保湿成分入り:高齢者の皮膚は乾燥しやすいため、保湿成分が含まれているものが使いやすい
- 日常使いでは、中等度のSPF・PAの製品が選択肢になりやすい。高SPF製品は海水浴・長時間の屋外活動向け
- 塗り直しが重要:汗・水・時間経過で効果が落ちるため、2〜3時間ごとの塗り直しが理想。外出先でも手軽に塗り直せるスティックタイプも選択肢になる
受診を考えるライン
次のいずれかに当てはまる場合は、皮膚科への受診が適切です。
- 顔・頭部・手の甲に、カサカサした赤みのある斑点や治りにくい皮膚の変化が出てきた
- 皮膚の変化が1〜2週間以上続いている・治りにくい
- 形が不規則・表面がザラザラした皮膚の変化がある
日光角化症は初期のうちは痛みもかゆみもないため、見た目の変化が気になったら早めに受診することが適切です。
ドラッグストアでよく聞かれる相談
相談:「70代の母に日焼け止めを買っていきたいが、肌が弱いので何を選べばいいか分からない」
迷い:肌が弱い高齢者でも使える日焼け止めがあるか
結論:「紫外線吸収剤不使用」と表示された散乱剤主体の製品が選択肢になりやすい。保湿成分入りのクリーム・乳液タイプがおすすめ。薬を服用している場合は、光線過敏症を起こしやすい薬かどうかも確認することが適切
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この記事の根拠
1. 環境省 紫外線環境保健マニュアル UV-Bは日焼けや皮膚がんの原因になり、UV-Aも長時間の曝露で健康影響が懸念されるとされています。
2. 日本皮膚科学会 日光角化症 日光角化症は長年の紫外線曝露により誘発され、60〜70歳代から多くみられるようになります。放置すると有棘細胞がんに進展することがあるとされています。
この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

