高齢者に市販のかゆみ止めは使っていい?塗り薬と飲み薬の違い・注意点を薬剤師が解説

70代の高齢者がドラッグストアの棚の前で腕のかゆみに悩みながらどの薬を選ぶか迷っている様子のイラスト 持病がある方の市販薬選び

この記事を読んでほしい人

高齢の家族の皮膚のかゆみに市販薬を選んであげたい方、または高齢の方ご自身が皮膚のかゆみに市販薬を使おうか迷っている方


冒頭3行結論

買うなら かゆみの原因に合わせて選ぶ。炎症・湿疹には外用ステロイド、局所のかゆみには抗ヒスタミン外用薬が候補になりやすい。

避けたい使い方

  • 第一世代抗ヒスタミンの飲み薬を前立腺肥大・緑内障がある方が自己判断で使う
  • 外用ステロイドを広範囲・長期に使い続ける

🧑‍⚕️ 相談が特に必要なケース

  • 前立腺肥大・緑内障がある方(飲み薬の抗コリン作用に注意)
  • 全身にかゆみがある方(腎機能低下などの基礎疾患の可能性)
  • 1週間使っても改善しない場合

市販のかゆみ止めは「塗り薬」と「飲み薬」に分かれる

市販のかゆみ止めは大きく塗り薬と飲み薬に分けられます。まず「塗り薬で対応できるか」を考えるのが基本です。

高齢者の皮膚のかゆみは、乾燥・湿疹・虫刺されなど局所的な原因が多く、塗り薬で対応できるケースが少なくありません。飲み薬は効果の範囲が広い一方で、高齢者では眠気・転倒・抗コリン作用のリスクが出やすいため、安易に選ばない方が安全です。


塗り薬の種類と特徴

50代の家族が70代の高齢者の腕に塗り薬を塗ってあげている様子のイラスト

外用ステロイド

炎症・湿疹・かぶれに効果があります。かゆみの原因が「炎症」である場合、最もよく効く選択肢です。

市販の外用ステロイドにはいくつかの強さがあります。ドラッグストアで購入できるものは比較的弱いランクのものが多く、用法・用量を守って5〜6日程度を目安に短期間使うことが基本です。5〜6日使っても改善しない場合や悪化する場合は、中止して受診を検討してください。

「ステロイドは怖い」は過度な心配です ステロイドへの恐怖感から塗り薬を避けて症状を悪化させてしまうケースがあります。外用ステロイドは、症状や部位に合わせて適切な強さ・期間で使うことが重要です。自己判断で長く使い続けるのではなく、改善しない場合は受診を検討してください。

ただし、高齢者は皮膚が薄く萎縮しやすいため、次の点に注意が必要です。

  • 長期連続使用(目安として5〜6日以上)は避ける
  • 顔・首・皮膚が薄い部位への使用は特に慎重に
  • 広範囲に塗り続けない
  • 1週間使っても改善しない場合は受診を検討する

抗ヒスタミン外用薬

ジフェンヒドラミンなどを含む塗り薬です。虫刺され・じんましん・局所のかゆみに使われます。

塗り薬として使う場合、飲み薬のような全身への抗コリン作用は出にくいとされています。ただし広範囲・長期使用は避けてください。


飲み薬(抗ヒスタミン内服)の注意点

市販のかゆみ止めの飲み薬には、第一世代抗ヒスタミン成分(d-クロルフェニラミン・ジフェンヒドラミンなど)が含まれています。

高齢者では次のリスクに注意が必要です。

眠気・転倒リスク 第一世代抗ヒスタミンは強い眠気を引き起こしやすく、高齢者では転倒・骨折につながる恐れがあります。

抗コリン作用のリスク 前立腺肥大がある方では排尿困難・尿閉の恐れがあります。緑内障がある方では症状に影響する恐れがあります。前立腺肥大・緑内障がある方の注意点は別記事で詳しく解説しています。

Beers Criteria 2023でも、第一世代抗ヒスタミン薬は高齢者で避けるべき薬として収載されており、抗コリン作用による転倒・排尿困難などのリスクが示されています。


高齢者で特に注意が必要な人

  • 前立腺肥大がある方:飲み薬の抗コリン作用で尿閉の恐れがある
  • 緑内障がある方:飲み薬の抗コリン作用で症状に影響する恐れがある
  • 複数の薬を服用中の方:第一世代抗ヒスタミンが重複しやすい(花粉症薬・かぜ薬との重複に注意)
  • 高齢者全般:眠気・転倒リスクが出やすい

受診を考えるライン

次のいずれかに当てはまる場合は、市販薬で様子を見るより先に医療機関への相談が適切です。

  • 市販薬を5〜6日使っても改善しない・悪化する
  • 広範囲・ひどい状態(水ぶくれ・滲出液・発熱を伴う)
  • 全身にかゆみがある(腎機能低下などの基礎疾患の可能性がある)
  • 突然全身にじんましんが出た
  • 顔・のどのむくみを伴う

ドラッグストアでよく聞かれる相談

50代の家族が薬局カウンターで白衣の薬剤師に高齢者のかゆみ止め選びについて相談している様子のイラスト

相談:「母の腕がかゆくて赤くなっている。塗り薬と飲み薬どちらがいいか」

迷い:ステロイドは怖いから避けたい。でも飲み薬は眠くなりそうで心配

結論:局所の炎症・湿疹であれば、まず外用ステロイドが候補です。用法・用量を守って5〜6日程度を目安に使い、改善しない場合は中止して受診を検討してください。飲み薬は高齢者では眠気・抗コリン作用のリスクがあるため、持病がある場合は薬剤師に相談してから選ぶとよいでしょう。


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この記事の根拠

1. American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® 第一世代抗ヒスタミン薬(クロルフェニラミン・ジフェンヒドラミン等)は、高齢者で避けるべき薬として収載されており、強い抗コリン作用による転倒・排尿困難・混乱などのリスクが示されています。

参照:American Geriatrics Society 2023 Updated AGS Beers Criteria® (J Am Geriatr Soc. 2023;71(7):2052-2081)

2. PMDA 一般用医薬品 添付文書 第一世代抗ヒスタミン成分を含む一般用医薬品の添付文書には、前立腺肥大・緑内障・排尿困難のある方を相談対象とする記載があります。外用ステロイドを含む一般用医薬品(StrongクラスOTC)の添付文書には、「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師または登録販売者に相談すること」および長期連続使用の注意が記載されています。

参照:PMDA 添付文書検索(一般用医薬品)

3. 厚生労働省 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議(令和6年3月) 既承認のStrongクラスのOTCステロイド剤における使用上の注意として、「5〜6日間使用しても症状がよくならない場合は使用を中止し、医師・薬剤師または登録販売者に相談する」と記載されていることが確認されています。

参照:厚生労働省 第27回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議 議事次第(令和6年3月12日)


この記事は薬剤師が執筆・監修しています。個別の症状や服用中の薬については、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。

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